ハーメルン
剣八の墓標
ドロップアウト


「それで困惑が勝っている、と?」

 どこか遠いものを眺めるように視線を宙に投げながら、男は首を横に振る。

「いいや」

 言葉が、一拍だけ空いた。

「受けるさ」

 長い、長い息をつくようにポツリと吐き出された一言だった。
 隣の青年は理由を問う事をしなかった。
 それは男の中だけで完結していれば良い思いが結論を付けたものであり、横から口喧しく物を言うような事ではない。

「そう、ですか」

 それを聞いた輔忌は俯くように目を伏せ、










「ならばあなたは僕の敵だ」










 心胆を寒からしめる、絶対零度の声だった。

「な……?」

「妥協も、放棄も。僕には許されていないから」

 底冷えするような冷たい霊圧を一身に浴び当惑する吼翔に向けて。剣八の血を引く(ただ)一人の息子は、この世で最も”その名”に近い男へと叩き付けるように宣言した。


「真剣勝負です、副隊長。剣八の名を掛けた——」



果たし合いを申し込みます。


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