ハーメルン
異端児だらけの遊撃隊
負の同期値の謎

 砲撃訓練中、私、陽炎の異常性が判明した。手持ちの主砲を使っても妙に命中率が低かった砲撃が、艤装備え付けの主砲を使ったら1発目からど真ん中命中を見せてしまったことである。

 それを調査するため、訓練は一時中断。艤装と私自身の調査に乗り出すこととなった。いきなり砲撃を命中させるというのはいないわけではない。戦闘絡みでは屈指のスペックを見せている夕立という前例がいるため、驚くべきことではなかった。
 だが、手持ちと備え付けで命中率が変わるというのは謎が多すぎる。そのため、訓練を止めてでも早いところ調べる必要があると考えたようだ。今後の艦娘としての活動にも影響があるだろうし。

「艤装は整備長と夕張さんが調べてくれてるので、その間に陽炎ちゃんの診察をしますね」
「よろしくお願いしまーす」

 と、私の身体について調査してくれるのは、この鎮守府唯一の補給艦と呼ばれる艦種の人、速吸さん。

 戦場では侵略者を撃滅するために艦娘が駆り出されると思っていたが、こういうサポート専門の艦娘というのもいる。それがこの速吸さんである。
 私達艦娘が使っている艤装は、使い続ければ燃料や弾薬が減っていく。何処にそんなにあるんだってくらい撃てるのは訓練で理解しているが、いつかは弾切れを起こすし、燃料切れで動けなくなる場合もある。それを戦場で解決してくれるのが補給艦の仕事だそうだ。壊れた艤装を修理するというわけではないのだが、艤装の中身が全回復するようなもの。

 給油やら何やらでサポートしてくれるということで、誰が呼んだか『艦隊のマネージャー』。制服も制服らしくなく、白いジャージだし。下は体操服らしいし。運動部のマネージャーというイメージ。私は学校を知らないが。

「とはいえ、速吸が出来るのはちょっとした検査だけですからね。一応医学部出身ですが」
「わぁ、じゃあ結構歳上……」
「あ、私二十歳過ぎてますよ。見えませんよね。童顔ってよく言われますし、お酒とかも飲めませんし。制服もこんな学生みたいな感じですしね。コスプレしてるのかなって思っちゃいますよ」

 正直同い年くらいに見ていましたごめんなさい。身長は似たくらいで、制服がそれだから。まぁ確かに女性のシンボルは結構大きいけれども、夕立もそうだから大人なイメージが感じられなかった。心の中で謝罪する。

「じゃあ、服脱いでベッドに寝てもらえますか。艦娘側の検査は工廠で出来ないので、速吸が一任されてるんです」
「はーい」

 相手も女性なので脱ぐことについては戸惑いは無かった。工廠で脱げと言われたら流石に文句くらいは言うが。

 制服をさらっと脱いで、言われた通りにベッドで横に。全裸になるわけでも無いので恥ずかしさも無い。どうせここで用意された下着を身につけているだけだし。下は相変わらずスパッツだし。流石にもう下に水着を着ることはしていない。

「ちょっと装置をつけますね。くすぐったいかもしれないですが、我慢してください」

 艦娘の適性検査をされるかのように、全身にいろいろと貼り付けられる。頭や素肌の部分にも貼られるので、急に冷んやりしたものを押し当てられて声を上げかける。危なかった。そっちの方が恥ずかしい思いをすることになる。
 これでどういうことがわかるかは私には理解出来ない。もしかしたらまた同期値を測ったりしているのかもしれない。


[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/6

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析