【打ち合わせ】炎上後の対応について
実状は仲の良い同期を心配しての行動でしたからね、と呟くと、諸星は続ける。
「茨木さんにはツウィッターアカウントで謝罪ツウィートをしていただくのがいいでしょう。内容としては、シンプルに獅子島さんと視聴者の方々に迷惑をかけてしまったことを謝罪するのがいいでしょうね」
そこまで言うと、諸星は先程から委縮してしまっているマネージャーの二人に話を振った。
「……飯田、四谷。黙っていないであなた達も意見を出しなさい」
「「は、はい!」」
完全に置物と化していた二人は諸星に促されてようやく意見を述べ始めた。
「やっぱり仲の良さをアピールすることは大事だと思います。茨木さんがツウィートしたら獅子島さんが引用リツウィートして、軽い感じで締めるのがいいと思います」
「獅子島さんが茨木さんに感謝していることを前面に押し出していくのも大事だと思います。茨木さんが酔って絡んだことが獅子島さんのプラスになったことは大きいですから」
「ええ、獅子島さんのチャンネルも現時点で登録者数三万人越えですからね」
「はえ……?」
唐突に飯田から告げられた事実に、レオは久しぶりに間抜けな声を出した。
「ちょ、ちょっと待ってください。三万人越え?」
「あれ、確認していなかったんですか? 獅子島さんのチャンネルと最初に出した歌動画、すごい勢いで伸びてますよ」
スマートフォンでU-tubeを立ち上げてチャンネルを確認すると、そこには〝チャンネル登録者数三万人〟と表示されていた。
そのうえ、いまいち伸びなかった一本目の歌動画〝ライオン・ソウル〟は既に四万再生を突破していた。にじライブに新たな伝説が生まれた瞬間である。
「マジか……」
「うわ、やっば。これならすぐに収益化できるんじゃない?」
「何か現実感ないな」
どこか夢見心地でレオは目の前の現実を信じられずにいた。
「音質が良くない環境であれほど見事に歌ったというのも大きかったのでしょう。次の配信は歌枠にすればこの勢いを保ったまま伸ばし続けられるでしょうね」
諸星はいつもの鉄仮面を崩し、笑顔を浮かべた。
「ひとまず、茨木さんは今日一日ゆっくりと体を休めてください。そして、獅子島さんは明日にでも配信で歌枠を行っていただけますか?」
もちろん、幼馴染のコラボで。
最後にそう締めくくると、諸星は夢美のツウィート内容を確認して打ち合わせを終わらせた。
[先日の配信においてレオや視聴者の皆様に迷惑をかけてしまい申し訳ございませんでした。
レオも「いいきっかけになった」と言ってくれ、この件は私達の間で解決しました。
なので妖精さんやレオのリスナーさん同士は喧嘩しないでくれると嬉しいです。
この度はお騒がせしてしまい申し訳ございませんでした]
[皆さん! 心配をおかけしてしまい申し訳ございません!
俺は今回の一件、夢美に感謝しかないので、どうか誤解のないようにお願いします!
明日にでも歌枠やるので、詳しい話もそちらでします!]
宣伝を混ぜつつ、しっかりと視聴者へ心配をかけてしまったことの謝罪をしたツウィートは瞬く間に拡散されたのであった。
こうして無事に炎上後の打ち合わせを終えたレオと夢美は会議室を出て、深呼吸をした。
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