ハーメルン
Vの者!~挨拶はこんばん山月!~
【初配信】はじめまして!茨木夢美です!!


[草]
[こんばん山月wwwww]
[さすがにじライブ]

「ぎゃっははははは! 山月記! 山月記だって! てか、マジかよにじライブ! こんばん山月って! 気ぃ狂ってんなぁ!」

 レオの配信を見ながら夢美は、部屋の中で下品な笑い声をあげて大はしゃぎしていた。

『この後の夢美ちゃんの放送もぜひ見ていってくださいね』

[きっとバ美肉した袁傪なんだろうな]
[バ美肉袁傪は草]
[バ美肉袁傪というパワーワード]

「誰がバ美肉袁傪じゃい!」

 高校を卒業してからずっと一人暮らしだった夢美は独り言が多かった。
 そして、レオの配信を見ていた夢美はあることに気がついた。

「っと、やべやべ……あ、あー……う゛んっ、うん、はじめまして、はじめまして、あー、あー……はじめましてぇ、茨木夢美でぇすっ!」

 よし、これならいける。
 チューニングは完了した。ふわふわした雰囲気のBGMも用意した。配信内で使う画像なども用意した。台本もきっちり用意した。
 配信経験のない自分がまともに話せるわけがないことは重々承知。これを読むだけでは朗読会だろうが、そんなもの知ったことか。大事なのは〝可愛い茨木夢美〟で無事に配信を終わることだ。

「うっ、ぷっ…………」

 緊張のあまりせり上がってきたものを気合で飲み込み、配信ボタンを押した夢美は、

「はじめましてぇ、茨木夢美でぇすっ」

 緊張し過ぎて声が上ずった。もう止まれないし、やるしかない。

[こんばんわ!]
[こんばんわー!]
[あら可愛い]

 開始直後、大量のコメントが流れて頭が混乱する。
 レオの配信のときも凄かったが、それとは比べ物にならない量のコメントが流れてきたのだ。

「わっ、コメントがすごい! たくさん!」

 まずい、開始十秒でどこ読んでるかわからんくなった。
 急いで大学ノートに書き殴った台本の上部を確認する。台本の横にはナンバリングがしてあったため、元の場所にはすぐに戻ることができた。
 よくやった、ナイス! ナンバリングをした自分に感謝しながら、夢美は慌てて台本を目で追った。

「ジャジャーン! 今日のために自己紹介用の画像を作りました!」

 公式プロフィールをコピペしてフリーイラスト切り貼りしただけのもんだけどな。
 心の中でそう毒づくと、夢美はあらかじめ用意していた画像を表示した。

[えらい]
[結構凝ってるやん]
[しっかり者だなー]

 嘘だろお前ら。と思いながらも、夢美は台本を読み続ける。

「森の奥で暮らす女の子。魔女の呪いにより長い眠りに着いてしまったが、夢を見ている間は体を動かすことができる。いつか自分を起こしに来てくれる王子様を待っている。というわけで、ね。はい、こんな感じのプロフィールになっております」

 そのまま文章を読むことしかできなくてすまん。夢美は心の中で視聴者達に詫びた。

[ほー、今は夢を見ている状態というわけか]
[今回はファンシーな面子が多いな]

「それでね、みんな。あたしのことは、どんな呼び方で呼びたい?」

[夢美ちゃん]
[普通に夢美ちゃん]

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