4話 前日
昼食を食べ終えたが、他の姉妹の食事はどうしているのだろう?三玖と皿洗いをしながら、考えていたら。三玖が察したように答えてくれた。
「二乃がね、ショックで部屋にこもってる皆の様子を見てくれて・・・」
「なるほど、相変わらずの姉妹思いだな」
姉妹の中で二乃は一番思っているのだろう。風太郎のことも好きであるが、もし、姉妹の誰かと、風太郎を天秤にかけた時、彼女は姉妹を取る。そんなの良い人間だ。
「じゃあ次は四葉の様子を・・・」
自分の欲ではあるが、本当は一番に四葉に会いたかった、しかし、二乃には最初に一花の部屋に案内され、その後三玖が自分から出てきたので、成り行きで進んでいった。
「・・・ねぇ、フータロー」
「なんだ?」
「実は二乃から聞いた話なんだけど・・・」
二乃が言うには、四葉は昨日から何も食べていないらしい。他の姉妹は二乃が作った料理を全部とは言わないが、口にはしている。しかし、四葉だけ、一口も食べてくれなかったらしい。
「・・・・・・」
体育大学に進学し、体を動かすことが得意な四葉が診断されたのは筋肉の麻痺。症状がどんなものかまではわからないが、あまり自由に動けないだろう。
「ひとまず、様子を見に行こう」
ちょうど皿洗いを終えたタイミングで、四葉の部屋に向かおうとするが、ガチャッと二乃が部屋から出てきた。
「フー君。ちょっと・・・」
そう言って手招きをされるので、目で行ってもいいか?と三玖に尋ねる。
「うん。私は夏休みの課題をする、リビングでやるから何かあったら頼ってね」
久々に二乃の部屋に入る。以前と比べて落ち着いたような部屋になっている。ベッドの上でクッションを抱えたまま待っていたのでその横に座る。
「・・・流石ね」
「何がだ?」
「三玖のこと。料理しないってあれだけ言ってたのに、あんな簡単に自身取り戻させるんだもん」
「・・・正直、俺は無責任な発言をしたのかとも思う」
「何よ?」
「味覚障害を持つ三玖は料理をやめる。現実的で模範的な判断をあいつが下した。だが、俺の勝手で、あいつをまた苦しむんじゃ・・・」
「ふざけんじゃないわよ!!」
そう言って抱え込んでいたクッションを風太郎に投げつける。座り込んでいる風太郎を見下すかの様に言い放つ。
「いい!!あの子が抱えていた問題をあんた力で導いた!私じゃ・・・出来なかったのよ・・・」
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