7話 二乃の決意
時刻はそろそろ夕方。昨日から何も口にしていない四葉は二乃、三玖を呼び、何か食べさせてあげるように頼んだ。そこでなぜか料理勝負が始まってしまった。中野家では今では恒例行事になっているらしい。
今回は二乃VS三玖&風太郎(味見のみ)という形だった。
「じゃーん!ポルチーニ茸のピッツァ!」
「フィットチーネ・カルボナーラ」
二乃はキノコを多く使った、アツアツピザ。三玖は幅広のパスタを使った、カルボナーラ。どちらもイタリアンのお店ですぐ出せるレベルに美味しい。テーブルに座らされた風太郎と四葉が食べ始める。
「すごくおいしいよ!この料理」
「ああ、この釜玉うどんスゲーうまい!」
「それうどんじゃなくてパスタ」
風太郎の料理の知識の乏しさはさておき、二人で張り切りすぎたのか結構な量が出てきてしまったが、何とか食べ霧、風太郎と四葉はソファで休み。二乃と三玖は皿洗いをしている。
「ふぅ、うまかった。もう晩飯入らねぇ・・・ほんとにいいのか?皿洗いくらいやるぞ?」
「いいわよ。四葉の相手してあげて。美味しかったでしょ?私を彼女にすれば毎日これが食べられるわよ」
二乃がそうやってわかりやすく挑発してくる。
「え!?ふ、風太郎!ダメだからね!」
「あー、わかってるって」
四葉あまり揺らすな。逆流しそう。
「フータロー・・・」
「なんだ三玖?」
「わ、私・・・も・・・///」
二乃と同じようなことを言いたかったのだろうが、恥ずかしくなり口には出せなくなってしまった。
「そういや、四葉」
「風太郎?え?何・・・」
風太郎が若干怒っているような表情を浮かべている。何かしてしまったのだろうか・・・そう思っているとみある一枚の紙を見せつけてきた。
「お前の部屋掃除してたら、こんなのが出てきた」
そういって見せてきたのは大学での四葉の成績表。体育大ということで実技関係に至っては問題なく寧ろ高得点をマークしている。しかし問題は筆記だった。
「保健教育学と健康心理学の単位落としてんじゃねーか!!」
「えへへへ・・・必須ではないので・・・その、優先順位が・・・」
「笑ってる場合か!罰として、お前にはまた勉強をしてもらうぞ!!」
「えー!また!?」
「・・・懐かしいわね」
ふと、二乃がひとりでにつぶやく。あの二人には聞こえていない様だが、三玖には聞こえていた。
「うん。高校生の時はこんな感じだった・・・まだ、二人足りないけど・・・」
そう、まだ、一花と五月がそろっていない。彼女たちが今熱中してるもの。目指しているものにどのくらい影響してしまっているのか?
現に一花は、ハリウッドデビューの降板を言い渡された。五月はまだ会えていない。無理やりにでも会いに行くべきなのだろうが、彼女は風太郎の助けを必要としていない・・・しかし、彼女なりの考えがあっての事、不器用で真面目な彼女だからこそ言えるのだ。風太郎はもうみんなのものじゃない。四葉だけのものだ。
「あ、風太郎・・・トイレ行きたい」
四葉がそう呟いたので抱きかかえて、ソファから車いすに乗り換えてる。トイレに連れて行こうとするが、風太郎は一つ確認したいことがあった。
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