8話 五月の心情
三玖が車いすを押して四葉がトイレから戻ってきてというものどうにも、ソファに座っている風太郎と距離が近い・・・というより右腕をロックして絡んでる二乃に三玖が問いかける。
「二乃。近い。フータローが迷惑してる」
「えー?そんなことないわよ?ねー?フー君」
「・・・はぁ」
先ほど出来事で枷が外れたのか二乃が暴走しだした。そして、それをよく思っていない人物がむーっと頬を膨らまして眺めている。
「二乃!おっぱい当てて誘惑しないで!風太郎もニヤニヤしない!」
そう言って四葉に指摘される。彼女に指摘されると謎の修羅場感がある。
「ニ、ニヤついてねぇよ!」
「・・・フータロー最低」
「三玖!?お前まで?」
ちなみに風太郎は先ほどから二乃の絡ませている手を必死に離そうとしているが、どうしても離してくれなさそうなので諦めている。正直一刻も早く、一花や五月の様子を見に行きたいのだが、一向に離してくれない。二乃乃ため込んだ部分が吐きだされていると考えれば、仕方ないと考えるようにした。
「風太郎!早くソファに座らせて!抱っこで!」
そうして、器用に車いすを動かし、風太郎目の前を陣取る四葉。
「フータロー。今度、インドカレー作るから味見役してね」
風太郎の左に座りスパイス関係の本を見せつけてくる三玖
「(・・・なんだこのハーレム)」
らしくもないことを思ったその時だった・・・上の階から、ガチャッと扉の開く音がした。
「うるさいですよ・・・」
そう言って壁を伝いながら、器用にエスカレーターを下りて行く、そして、風太郎たちの目の前に立つ。
「上杉君・・・やはり来てしまったのですね」
「五月・・・お前大丈夫なのか?」
二乃から聞いた話によると、彼女は弱視とのこと。全盲ではないので、全く見えないわけではないらしい。
「・・・離しなさい」
急に冷たい、態度で二乃が絡ませている手を引きはがそうとした。
「ちょ・・・五月!?痛い!」
反射的に離し、ようやく右腕が解放されてありがたいが、そんな無理に引きはがすことはないはずだ。
「三玖。味見役は私がやります」
そして今度は三玖のスパイスの本を取り上げる。
「わ、私は・・・フータローに・・・」
彼女に怒りに触れてしまったのかわからないが、機嫌が悪いのは確かなようだ。そして今度は四葉になにか言うのかと思ったが、そうではなかった。
「ほら、上杉君。四葉が待ってますよ。ソファに座らせてあげてください」
「あ、ああ・・・」
ストレスで八つ当たりをしている・・・というわけではなさそうだった。四葉と風太郎に対してはいつもの五月・・・と言った印象だった。とりあえず、五月の言われた通りに四葉を抱きかかえようとする。
「い、五月、大丈夫だよ!風太郎も、ありがとね」
そうして、急に遠慮してしまい、そのまま車いすに戻った。
「五月!あんた急にどうしたのよ!?」
「理由を聞かせて。納得できない」
確かに、二乃と三玖に対しての、態度は謝らなければいけないことではある。しかし、五月はこういい放つ。
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