ハーメルン
優希-Yūki-、再び全国へ
第7話、大星と都会の星々

「はい、そうなりますね、でも入って早々だからそれで普通では無いかと」

「は、はい?私は……最近はあんまりそう言うの見てもないですから」

「えっ、そ、それですか……それなら大丈夫ですよ、皆、親切で優しい人ばかりです」

「まぁ、そっちも落ち着いたら遊びに来てください」

「はい、気をつけてください、それではまた」

 挨拶を合図に通話が切られたのを確認した後、原村和はベットに倒れ目をつぶった。
 ここに来てからもう2ヶ月くらいがたった。新しい登下校道にも馴れつつあるけど、家でひとりに成ってしまうと訪れる下校後の静寂には馴れたはずだったのにじっとしてられない。自分の中で何かが変わってしまった事を気づきながらも、わざと振り向かなかった。

(勉強でもしますか)

 最近は机の上に教科書と参考書が開いたままであんまり閉じなくなった。机の上を整理したら、もうしなくなる様に感じてたからだ。
 椅子に座り結構時間が経った頃、下の階からベールが鳴る音がした。
 和は1階に降りてドアホンにでる前に部屋の窓から外を見渡す。この時間だから予想がいく訪問客だろうと考えながら眺めるとそこには見慣れた金髪の少女が立っていた。
 和は微妙な笑いを浮かべ階段を降りて行く。画面の中の少女はカメラを向けて手を振てみるなど明るい過ぎた。

「はい、原村です」
「ノドカ、遊びに来たよー!今、暇でしょ?感謝してね」
「今、開けますから上がってください」

 扉の自動に開くモーターの音の後、馴れた走りで少女はすぐ家の玄関に飛び入り和の顔を見たら元気に喋りだす。

「淡ちゃん参上!ねぇー、聞いてよノドカ、亦野ったら本当うるさくてねー、今日も放課後だと言うのに放してくれないんだよ」
「それは淡さんが悪いですね、今、やっとう学校の部活時間が終わる頃ですのに……学校からここまで結構時間が掛かるのを考えると月曜日からのサボリですね」

 自分の腰に手を当てて和なりには淡の愚痴に正確になツッコミをいれたけど、淡は逆ギレをするだけだ。

「一日くらい部活サボってもいいじゃん!友達が一大事でしょ?」
「それでも駄目です、自分で入った部活だから部活の終了まで授業時間と同じです、やるからには真面目にやって下さい」
「別に帰宅部の人に言われたくないですー!だ」

 和はこの話題で得られる物など無いから、これ以上返事を返さなかった。一様こんな淡もお客だからリビングに案内、正確に淡が勝手に動かないようソファーに座らせてから台所に向かう。紅茶と、緑茶と、コーヒーなどが並んでいる所に手を伸ばした。

「お茶出しますけど、リクエストあります?」
「私、今は甘い物の気分だからクッキーとか似合う物でいいよー」

 お茶をススメたのに何故か淡からクッキーの追加注文が加わった。仕方なくそれにも応じる為にポットをセットして棚から選んで出したココアパウダーと淡の口止め用の食べ物などを探しているとまた淡が話掛けて来た。

「そういえばさ、最近まゆの所あんまり行ってなかったかも」
「多治比先輩も部活サボって遊びに来たら怒るからでしょ?」
「バレた?でもまゆは人が良すぎるから優しく注意するだけなのに優しすぎてこっちが悪者にされる気分がちょっとあれだよ」

 さすがの和も淡の顔を見てもないけど呆れ顔になってしまった。

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