ハーメルン
魔法少女リリカルなのは with Dark_Matter
再会と邂逅
海鳴市でのハラオウン家として、臨時駐屯地としても機能しているマンションの一室。
昼下がりの今、執務官補佐官エイミィ・リミエッタも交えてリビングで寛ぎながら、垣根帝督は引き続き件の『闇の書』に関する説明をクロノから受けている。
「闇の書の最大の特徴は、そのエネルギー源にある。闇の書は魔導師の魔力と魔法資質を奪う為に、リンカーコアを喰うんだ」
「なのはちゃんのリンカーコアも、その被害に……」
「ああ、間違いない。闇の書はリンカーコアを喰うと、蒐集した魔力や資質に応じてページが増えてゆく。そして、最終ページまで全てを埋める事で、闇の書は完成する」
「完成すると、どうなるの?」
エイミィは、怪訝な顔で声を発した。
クロノは少しうつ向き、静かに答える。
「……少なくとも、ロクな事にはならない」
ソファーに座る垣根はそれを聞いて、
(学園都市の敷地で完成とかして、そのロクな事にならない事態になったら、面白いかもな)
全く関係無い物騒な事を考えていた。
ガチャッと鍵を開け、玄関のドアが開く音が聞こえた。
誰か帰ってきた。買い物に行っていたリンディ・ハラオウンだろうか。
「ただいま」
「!」
予想していなかった声が聞こえ、垣根帝督は意外そうな顔をした。
リビングに入ってきたのは、白いセーラー服風の女子児童制服を纏った、長い金髪を太めの白いリボンで結んでツインテールにしている。端正な顔立ちの大人しそうな雰囲気の少女。
フェイト・テスタロッサ。
しかも散歩帰りなのか、赤い体毛の子犬を連れていた。
「ただいまクロノ。あ、エイミィも来てたんだ_ッ!?」
「あ、フェイトちゃんおかえりー」
フェイトはクロノ、エイミィの顔を見て微笑んだ直後、想像もしていなかった男の顔が目に映り、絶句する。
なのはと同じく約半年ぶりに会った、一度だけ刃を交えた魔導師ならざる存在。
「…ただいまって?一緒に住んで……ああそうか。艦長さんがこいつの保護責任者だからか」
垣根は最初は訳が分からなくなったが、リンディの事を思い出して納得する
「ああ、まあ厳密には本局にもう1人フェイトの保護責任者はいるんだが」
と、クロノが補足した。
ポカーンとしている1人と1匹。
垣根はへぇーっと軽く返事してフェイトから目を逸らし、通称『リンディ茶』をズズッと啜る。
しばらく口を半開きにしたまま呆然としているフェイトと
子犬
(
アルフ
)
だったが、ハッと我に返って再び垣根帝督の方を見た。
彼は事も無げにリビングで変わらず寛いでいる。
クロノからもエイミィからも、リンディからも誰からも聞いていない。垣根がここに来る事など全く。
フェイトは慌てて垣根に近づいて矢継ぎ早に告げる。
「え、え?ええ!?ち、ちょちょっと待って!なな何で!?何で
垣根
(
あなた
)
がここに!?いつ来たの!?何で!?どうして!?」
「近い近い、落ち着けよお前」
「あ…ッ!ご、ごめん……!」
[9]前話
[1]次
最初
最後
[5]目次
[3]栞
現在:1/8
[6]トップ
/
[8]マイページ
小説検索
/
ランキング
利用規約
/
FAQ
/
運営情報
取扱説明書
/
プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク