第5話 しのぶとの一刻
~蝶屋敷~
武が胡蝶の屋敷に着いて2日が経った。
「ん……くぅ~ふぁ~」
早朝、武は目を覚ますと布団から起きた。武は布団から出ると首や肩を回す。
「ふぅ……取り敢えず起きるか」
武は洗濯された自分の服を着て、布団を畳むと襖を開け部屋を出た。そのまま、彼はある場所へと向かう。
それは大きな道場だ。
この蝶屋敷は鬼殺隊の療養所であり、治療を受けた後の機能回復訓練も行っている。
「さてと……」
武は準備体操を始めた。
「よく体を解しておかないと…………これでよしっ」
準備体操を終えると、何処からともなく刀を取り出す。
「すぅ……はぁ……」
深呼吸すると抜刀の構えを取る。そして凄まじい速度で抜刀を行った。
そのまま、連続で斬撃、突き、斬り払い、時に回避行動や防御の構えを入れつつ、実戦さながらの鍛練を行う。
「うおりゃ!」
最後に大きく飛び上がり刀を振り下ろした、そのままゆっくりと刀を鞘に納めた。
「すぅ……ふぅ……!」
武は背後に気配を感じ、振り返り際に抜刀した。
「ちょ……ちょっと待って下さい! 私です、しのぶです!」
どうやら後ろにいたのは、胴着を着たしのぶだった様だ。刀身はしのぶに当たる前に止まっていた。
「なんだ、胡蝶妹……じゃなく、しのぶか」
武は直ぐに刀を下ろし鞘に納めた。
「気配を消して背後に近付くな」
「それはごめんなさい。つい……それにしてもまだ慣れませんか、名前呼び」
武は始めの内はカナエとしのぶを胡蝶と胡蝶妹と呼んでいたが、2人が名前で呼ぶ様に言ったので名前で呼ぶことになった。
「何か用だったか?」
「いぇ……随分と熱心に鍛練しているのだなと思いまして」
「そりゃ……ある程度、動けないとな」
「ある程度……ですか……」
しのぶはそう聞くと、顔を俯かせる。
「?」
「1つ手合わせ願えませんか?」
「別に構わんぞ」
武としのぶは手合わせする事になり、互いに向かい合い、一礼すると木刀を構えた。
「はぁ!」
先に動いたのはしのぶの方だった。
まずは武の胴を狙った一撃を繰り出すが、武は平然と受け止めた。
「ッ!」
しのぶは一度退いて、追撃を繰り出す。武はそれを最小限の動きで回避し続ける。
「息が乱れ始めてるぞ」
「こっこのぉ!」
しのぶは今までの細かな連撃から、少し大振りの一撃に変えて攻撃を始めた。
「次は足元が疎かに……剣先がぶれているぞ」
「っ!」
指摘される度にしのぶの額に青筋が増えていく。
「よっ……と」
武はしのぶのほんの少しの隙を突き木刀を弾き飛ばす。
「勝負あり」
「……私の負けですね」
木刀を突き付けられしのぶは負けを認め、その場にへたり込む。
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