ハーメルン
兄さえいればいい
06.過去

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 今年のクリスマスは私にとって最高にハッピーなクリスマスになるはずです。だって兄さんと一緒のクリスマスですから。
 去年はやむなく私一人実家に帰りましたけど、その時はたのしいといえば楽しかったのですが、やはり兄がいないという一点が全ての出来事を灰色に曇らせてしまいました。
 なので今年はホグワーツから列車に乗るときも、駅から家に帰るまでも、私はずっとドラコの隣でニコニコです。
「そんなにクリスマスが楽しみ?ソフィアは子供だな」
「違いますよ。叫びの屋敷でユーレイに襲われた兄さんをボディーガードしてるんです」
「ちが…!近場まで行った時に野犬が…!」

 家族四人でしめやかに…と思っていたクリスマスパーティーですが、家に帰ってからどうやらそうじゃなさそうだと気づきました。飾り付けが過剰なのです。というか、ケータリングが大量にあります。
 飾り付けをしていたドビーがぱあっと目を輝かせ私にアイコンタクトしてきました。ドビーはでっかい星の飾りをツリーのてっぺんにつけるとひらりと降り立ち、礼をして厨房へ引っ込みました。
「いいかい、二人共。今年は外国の要人や魔法省の役人方を大勢お招きするパーティーだ。マルフォイの名に恥じぬ振る舞いをするんだよ」

 ジーザス!信じてもない神を叫びそうになりました。これまで父の友達や母の友達がちょっと訪ねてくることはあれど、大きなパーティーは珍しいです。ドラコとゆっくりまったり暖炉の前で本を読む…なんてことができないじゃありませんか!

「楽しみです、父上」
 ドラコはそういう場でちやほや褒めそやされるのが大好きなので嬉しそうです。母は私に可愛らしい服を着せるためにウキウキしていて、家族全員笑顔です。まあそれならいいでしょう…。

 それにしても魔法省の人だけならともかく、なぜ外国の要人とやらを招くのでしょう?
「父上、どうして今年は盛大にクリスマスを祝うことにしたんですか?」
「ああソフィア。まだ内密にとのことなので言えんのだが…そうだね、うん。今、色んなプロジェクトが水面下で進行中なのだよ。私はそんなみなさんに打ち解ける場所を提供しようと思ってね」
「まあ、さすが父上ですね」
 はて。外国も巻き込んだイベントというとクィディッチワールドカップあたりでしょうか?父は別にクィディッチの熱心なファンでもなかったような気がしますが…。まあ、コネづくりなのかもしれません。そういう意図があるならば私も精一杯猫をかぶらせていただきましょうか。にゃー。

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