05.獅子寮のマルフォイ
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「難しい」
帽子が頭にのった瞬間、声が聞こえました。まるで耳のそばで囁かれてるような、頭の中に直接聞こえるような、妙な感じです。
それにしてもこのかび臭い帽子、千年前からずっと洗ってないのでしょうか?なんだか埃っぽいのですけど。
「ステュクスの迷い子。そんな君をだれが振り分けられようか」
どういう意味でしょうね?書き慣れない言葉に私は首を傾げます。ですがどこかで聞いたような、知っているような響きです。
まあ帽子はポエマーと聞いてましたし、ここで聞いても答えなんて出ないでしょう。
「では、グリフィンドール。私をそこへ入れてください」
「いいだろう。私はただ振り分けるだけ。… グリフィンドール!」
あたりがどよめくのがわかりました。
だって私はマルフォイ家の令嬢だからスリザリン以外に振り分けられるなんて本来あってはならないことです。
ああ、全く煩わしい。
人はまず名前で目の前のものを判断します。名前とは、他者から初めて押し付けられる望みです。それは呪いに他なりません。そんなものを恐れたり忌避したりするなんて意味のないことです。
しばらくの間奇異の目に晒されることでしょう。ですがほんの少し我慢すればすぐに終わります。子供は移り気ですからね。
私がグリフィンドールの席につくと、横に座っている上級生の女子は困惑した表情を浮かべました。
すべての組分けが終わるといよいよ晩餐です。斜め向かいに座ったジニー・ウィーズリーがこっそり手を振ってくれました。船着き場で声をかけておいてよかったです。
そういえばグリフィンドールの席についたというのに、ハリー・ポッターの姿が見えませんでした。彼の姿を探そうとキョロキョロしてたら、横の上級生の女子が話しかけてきました。
「ねえ、あの…覚えてる?私、書店で会ったのだけど」
「えっ?…ああ。ウィーズリーさんのお連れの方ですね」
私ったらうっかりしていました。横にいた彼女は書店でドラコに殴りかかろうとしていたロン・ウィーズリーを止めようとしていた人だったのです。栗色のもじゃもじゃ髪に利口そうな顔立ちをしています。
「ハーマイオニー・グレンジャーよ。よろしくね」
グレンジャーという名前には聞き覚えがありました。昨年ドラコを抑えて学年一位をとった女子生徒、彼女がそうだったのですね。
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