06.穢れた血
翌朝、私は競技場へ行こうと早起きをして支度をしていました。隣のベッドを見るとジニーも同じように支度をしています。おや、と思い私は尋ねました。
「ジニーもスリザリンの練習を見に?」
「えっ…?私はグリフィンドールの練習を見に行くつもりだったんだけど」
「あら。一緒にグラウンドを使うんでしょうか?」
「スリザリンと?うぅん…ありえないと思う」
「ですよね」
「行ってみればわかるわ。一緒に行かない?」
私はジニーの提案に乗りました。ちなみにジニーの双子お兄さんはグリフィンドールのビーターをしているそうです。けれども彼女のお目当てはシーカーのハリー・ポッターでしょう。
競技場へ到着すると、グリフィンドールの選手がビュンビュン飛び回っていました。スリザリンの選手の姿はありません。ドラコの伝達ミスでしょうか。
観客席にはすでに見物人がいて、そのうち一人がバシャバシャと写真を撮っています。同じ学年のコリン・クリービーでした。彼は魔法のカメラを手に入れてからずっとカメラ越しでしか世界を見てないのではないでしょうか?
観客席に上がろうとすると、緑のユニフォームの集団が芝生を横切るのが見えました。私とジニーはそばに駆け寄ります。ロンとハーマイオニーもやってきたのが見えました。
どうやらどちらが競技場を使うか揉めているみたいです。
グリフィンドールのキャプテン、オリバー・ウッド、そしてスリザリンのキャプテン、マーカス・フリントが睨み合っています。
「こっちにはスネイプ先生のサインがあるんだぜ?特別許可証さ」
フリントが持ってる許可証をウッドがひったくり、読み上げました。
「私、スネイプ教授はクィディッチ競技場において、新しいシーカーを教育する必要があるため…?新人?誰だそいつ」
ドラコがウッドの前に自信満々に出てきました。こうして上級生と並ぶと、さすがに小さいです。私にとっては兄なのにまるで七人兄弟の末っ子みたいでなんだか面白いですね。
「ルシウス・マルフォイの息子じゃないか」
「ああそうさ。その方がチーム全員にくださった有り難い贈り物を見せてやろうじゃないか」
チーム全員が自慢げに箒を突き出しました。ピカピカのニンバス2001です。ニンバスシリーズの最新型で、七本となるとかなりのお値段になります。
父は兄を厳しく躾けているように見えて、実は甘々なのです。
「呆れた。箒が揃ったからなんだっていうんだ?」
ロンが呆れた声を出します。
「ウィーズリー、どんなに僻んでも残念ながら君たちの時代遅れのクイーンスイープ5号なんかじゃ手も足も出ないさ」
「グリフィンドールの選手はお金で選ばれたりなんかしてないわ。才能と実力であんたたちなんかひとひねりよ」
ロンの隣にいたハーマイオニーがバシッと言いました。エイドリアンとのやりとりを思い出し、ドラコの得意げだった顔が歪みます。
「誰もお前の意見なんか求めてないぞ。この生まれ損ないの『穢れた血』め」
グリフィンドールの面々から轟々と非難の声が上がりました。ドラコは興奮すると頬に赤みがさすのですが、今回もりんごのように染まっていますね。
ですがロンも負けていません。顔を髪の毛より真っ赤に染めて、ポケットから杖を引っ張り出しました。
「マルフォイ、なめくじ喰らえ!」
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