ハーメルン
『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!
第十七話
「ほい」
粘液付きバットで殴打。
「つぎ」
近寄ってきたナメクジはお仕置き。
「よっと」
近寄ってこないナメクジも襲撃。
我ながら野蛮だが仕方ない、冒険者とはそういう物。
ウホウホ筋肉帝国の使者として、これはいわば使命なのだ。
昨日の焼き戻しの様に、周囲にはグネグネと蠢くナメクジたち。
そいつらが次から次へと死亡し姿を光に変え、ドロップした魔石を私が回収する。
暫くするとまたピンクの沼からナメクジたちが這い出てくるので、歓迎パーティ代わりにその頭を粘液付きバットで殴り飛ばす。
あ、ナメクジ肉落ちた。
昨日おばさんから貰ったビニール袋に放りこみ石の上に放置、どうせここには私以外誰もいないし、盗まれることもない。
昨日ナメクジを簡単に倒せる方法を筋肉に伝えたのだが、彼は私がここで暫く狩り続けるだろうから、それが終わったら情報を公開すると言っていた。
まあ私の場合は『スキル累乗』と『経験値上昇』の組み合わせで、他人とは比にならない成長速度なので、恐らく一週間もすればここから去ることになる。
そうしたらここは一躍人気ダンジョンになるだろう。見た目は確かに汚くとも簡単に倒せるなんて、初心者垂涎の経験値稼ぎ場になるのは間違いない。
さらに有用な情報には報奨金が出るらしく、なんと五万円も貰ってしまった。
今の私は七万円も持っている、大金持ちだ。
このお金で服を買おうと思ったのだが、『麗しの湿地』では泥や酸が跳ね直ぐに汚れてボロボロになってしまうし、ここを攻略してから新しく買うことにした。
『レベルが上昇しました』
石の上でぼんやりとナメクジたちが消滅するのを待っていると、レベルアップの音声が耳へ飛び込んできた。
流石にレベルの上昇も緩やかになってきたとはいえ、スキルレベル自体を上げたことによって、今なおレベルアップは起こる。
しかしながらナメクジのレベルは15、今のレベルアップにより私のレベルは40となったので流石にもう厳しいだろう。
麗しの湿地は推奨レベル15~50、今までは入り口近くでナメクジを狩ってばかりいたが、そろそろいい頃合いか。
普通ならもっと低いレベルで奥へ向かうのかもしれないが、私はソロで致命的なダメージを受けた瞬間おしまいだ。
少し慎重すぎるくらいがいい。
オークに頭を潰される直前の、手足から血が引く感覚を思い出し身が勝手に震えた。
流石にもうあれは勘弁してほしい。
◇
カリバーを掴み上げ、石の上から飛び降りる。
泥が飛び散るが今更だ、駆けずり回ってフルスイングを繰り返しているせいで、既に全身泥まみれだし。
一度ナメクジたちを壊滅に追い込むと、彼らが沼から出てくるまである程度時間がある。
その間に悠々と闊歩、沼地を進んで行く。
しかし先ほどまで何もなくだだっ広い泥が広がっていたというのに、奥に進んで行くと三メートルはあろうかという巨大な蓮の葉が、あちこちからにょきにょき生え始めた。
勿論沼の色とそっくりな花も咲いていて、随分と幻想的な雰囲気がある。
モンスターが動くような影もなく、気が抜けていたのだろう
「……!?」
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