一条君と素敵な友人
数名の魔法少女と一緒に(?)戦った次の日、俺と暁、解兎の3人は南凪のアパートにて集まっていた。その理由は、暁が何やら相談したいことがあるらしい。
「んで、なんだってんだよ? 相談ってのは」
レッ○ブルを飲んでいる解兎が要件を尋ねると、暁は苦笑しながら俺たちに相談したいことというのを言ってきた。
「実はさ、父さんに昨日泣きつかれちゃって。『頼む! 頼むからもう少し真っ当な絵を描いてくれ!』ってさ。いきなり言われても困っちゃうよ」
「……まあ、暁の描いている絵は大体がレーティング指定の付くような絵だったりするからな」
「それを描いてんのが高一ってのがまた、いよいよ世も末かねぇ」
「そういう解兎だって高一じゃん」
頬を膨らませながら上目遣いで解兎を睨む暁を横目に、俺は今まで暁が描いた絵──もとい同人誌を思い浮かべていた。
浮かび上がるのはまず最初に幼女調教の同人誌、次にNTRもの。普通のイラストでいえばゲームのキャラクターが主に幼女で何枚か、創作でも普通の漫画を描いてたりしてたな。
しかし、しかしだ。これらはあくまでプライベートで描いたものであって、コンクールや学校の授業で描くものではまた違ってくる。
昔見せてもらったことがあるのでいえば、新西区の街中をスケッチしなさいという授業で敢えてラ○ホを描いたらしい。他にも直接的、比喩的問わずに様々な問題作を描き上げているため、暁の父はそのたびに誰かに泣きつくのだ。
尚、暁がプライベートで描いている絵に関してはもはや諦めているらしい……
「なあ、お前今度は何やらかしたんだよ。美術の授業か? それとも部活動でか? 或いは新作の同人誌か?」
「やらかしただなんて、酷いなぁ。僕はただ『生』というテーマに則ってアートを完成させただけなのに。美術の授業がテーマを決めて自由に絵を描けって話だったから、ちょうどよかったんだよ」
「テメェの場合は“せい”は“せい”でも、生きる方の『生』じゃなくて性別の『性』だろうが! はぁ……」
「さっきから二人とも失礼すぎない? そこまでいうなら僕の描いた絵を見てみなよ!」
そう言って暁はスマホを操作して、L○NEのグループに画像データを送りつけてきた。どうやらこのデータが暁が今回やらかした絵らしい。早速開いてみるか。
送られてきた画像は……部屋の中にある電動マッサージ機、略して電マの絵だった。全体的に暗めな部屋として描かれていることで、まず雰囲気をわかりやすく重くしてきた。描かれているカーテンの隙間から漏れ出す光が電マを照らし、心なしか湿ったように描かれている電マの存在感を際立たせた。具体的にいうと、なんか若干電マがテカテカしてるように見える。
この絵を少し観察してみると、部屋の隅っこにはベッドがあり、そこには誰かがいるのか、布団に大きな膨らみができていた。そしてその布団だが、どういうわけかシミが付いているようにも見えなくはない。この状況を見ると……うん、アウト。
「……ちなみにタイトルは?」
「『これは健全な商品です』ってタイトルなんだけど」
「相変わらずヒデェネーミングセンスだな……ホント」
「あーっと、こればっかりは擁護できないな。いや、これ以外にもできない点は何点もあるが……」
「そこについてはもう諦めたよ。まぁ、名前なんてただの文字記号の順列なんだから、適当でいいかなって」
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