15
呪術高専姉妹校交流会。一日目の競技は団体戦。
これは、一定の区画内に放たれた2級呪霊を討伐することを競うというもの。討伐目標以外にも3級呪霊などが幾つか放たれており、制限時間内に決着がつかなかった場合は、討伐数の多い学校の勝利となる。
「勿論、妨害行為などはありだ。ただ、あくまで君たちは呪術をもって呪霊を祓う呪術師。ともに轡を並べ戦いに臨むこともあるだろう。交流会は、仲間を知り、力を知ることで互いの理解を深めるという目的もある。相手を殺したり、再起不能にするような怪我を負わせる様な事は無いように」
教育者としての立場からの訓戒を述べながら、夜蛾はサプライズ()をかましやがった五条悟へとコブラツイストを極める。
一応、五条自身も黙っていた事には思うところがあるのか甘んじて罰を受けているし、生徒もそして教員も彼らを助けるようには動かない。
そんな中で手が上がる。
「あの、夜蛾学長」
「なんだ、京平」
「いえ、虎杖君が入ると東京は七人で京都校より多くなりますけど。いいんですか?それとも、一人抜けた方が良いですかね?」
雨里の疑問。それは、公平さを加味してのものだった。
人数の差というのは、それだけ出来る事の差が増すという事。呪術師ともなれば、呪霊を祓うにしろ、足止めに徹するにしろ手札が増える。
しかし、
「別に気にすることないよ、京平。呪術師の戦いで公平さがある場合なんてまずゼロなんだから」
技を掛けられる最強教師は、一笑に付した。一段階技のキメが強くなる。
そして、五条が痛めつけられる様を楽しんでいた庵が一歩前に出た。
「貴方、名前は?」
「え?あー、えっと、雨里京平です」
「そ………………あの男の教え子の割にかなりマトモよね」
「ええっと、庵先生?」
「まあ、良いわ。雨里、貴方の言いたいことは分かる。でもね、交流会で公平な勝負何て今までも無かったのよ。そこの男みたいに、どれだけ数が居ても意に介さない奴とか居たからね」
一瞬、五条を睨む目がものすごい鋭さになったのは気のせいではないだろう。
ただ彼女の言うように、術師の術式は千差万別。同じ術式でも、使用者の技量次第でその破壊力も規模も大きく変わる。
何より、後日の個人戦はともかく、団体戦では人数違いのあった試合も過去になかったわけではない。
「ま、その辺は気にしないで」
「はあ……」
「京平。その辺りは教師の領分だ。お前の気にすることじゃない」
「わ、分かりました」
頷く雨里を確認し、夜蛾は続ける。
「他に質問はないな?では、団体戦開始の正午まで解散」
この一言を皮切りに、生徒たちはそれぞれの学校で纏まり散っていく。
その背を老獪な瞳が鋭く睨んでいた
*
東京校側ミーティング。
土間に正座させられた虎杖は、その手に黒い額縁を持たされ宛ら遺影のような恰好を強いられていた。
「あのぉ………これは、見方によってはいじめにでも見えるのでは………………」
「ウルセェ、しばらくそうしてろ」
「あ~、雨里?」
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