バッタ討伐とフリーの傭兵 1-1
お母さんが退院する前から、放課後ブロッサムを手伝う日は、毎回このみさんと一緒に行っていたのだけど。魔法少女になってからはそれにプラスして、燈湖組も一緒にお店までついてきていた。
ついてくるだけで、人手がどうしても足りないとき以外はあまり手伝ってはくれない。まあ、手伝ってもらったら非正規とはいえバイト代払わないとだし、バイト人員が多すぎてもお母さんのリハビリ的にあまり良くないから、それは別にいいんだけど。
じゃあ燈湖組は、自宅の方向とは違うブロッサムに来た後、どこで何をしているのか。
大まかに分ければ2パターン。公園で筋トレか、魔法少女関連の情報収集だ。
筋トレはともかく、情報収集はお店を手伝わない日には私も参加するし、お店の定休日にはこのみさんも付き合ってくれてるんだけどね。
そんな訳で。最近の手伝いの日は、燈湖達が何かしらの新情報を持ってくるの待ちながら仕事している感じだ。
☆
《戻ったぜ》
《あ、お帰り2人とも》
そんなある日の、日が傾きかける時刻。燈湖達から念話で連絡が届いた。今は念話がギリギリ届くお店近くの公園の鉄棒で、高速片手懸垂しながら情報整理中らしい。
……魔法少女になって身体能力上がってから、デンドロビウムの影響もあってか燈湖はさらに化け物じみて来たわね……地上最強でも目指してるのかしら。
まあそれはともかく。
《それで、えーと……確か今日は、新西区の顔役の、七海やちよさん? に、会ってきたのよね。どうだった?》
《ちょいと堅物で難儀したが、色々と教わったぜ》
《ベテランらしい貫禄のある方でしたね。是非一度お手合わせ願いたいです》
《へえ、デンドロビウムにそこまで思わせるとはね。神浜最古参って言われるだけあるってことかしら》
声の雰囲気から、有意義な情報交換の場だったのがうかがえる。
《私達に関しては、どこまで話したの?》
《魔法少女の真実についてカマかけしたら、大体知ってたからな。アタシらがそれを承知で動いてることは話した。花騎士関連は、軽くだな。願いの結果で、アタシらにはもうひとりの人格が存在してる、くらいだ》
《交代して挨拶はしましたが、基本的にはトウコさんにお任せしました》
ふむ。まあ、同じ魔法少女とはいえ気の置けない仲でもないのに、一から十まで話す理由はない。それでも、慎重な燈湖と穏やかなデンドロビウムのコンビなら、変に不信感を与えることもなかっただろう。
《でだ。ここからは、魔法少女に関する新情報、みたいなものだ》
《みたいなもの?》
《神浜の、て意味だ》
燈湖の話を要約すると。神浜市には、今日燈湖が会ってきた西のまとめ役の七海やちよさんの他、中央のまとめ役的な位置にいる都ひなのさん、東のまとめ役の和泉十七夜さん、と、大きく分けて3つの区にトップがいるらしい。
《つまりは、アタシらが他の区、特に東だな。魔法少女としてなんらかの活動をしたいなら、区のトップに話を通せば無用な軋轢を避けやすい、て事だ》
《神浜の東西の対立は、魔法少女の間にも存在してるってことね》
《なんか面倒臭いわね……》
《この都市にも、色々と歴史と事情があるようです。そうですね……他国の大規模な害虫討伐に参加するなら、その国の騎士団長の指示の下に動かなければならない。それと似たようなものと考えて下さい》
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