バッタ討伐とフリーの傭兵 1-4
ななかの笑顔と動きがピキリと固まる。
「……この流れで断られるとは思いませんでした」
それでもすぐにセリフが出てくるあたり、強い精神力の持ち主よね。
「理由をお伺いしても?」
「さっきも言ったが、お前達のチームに入るメリットがあんまりないからだ。それに、「狙われる確率が高い」であって、「確定」じゃねぇんだろ?」
「それはそうなのですが……」
「なによりも。アタシらなら、ブロッサムを狙い撃ちされても撃退出来る自信がある」
「……お言葉ですが――」
「――敵は潰す。当然飛蝗でも潰す、牙を向いた時点で徹底的に潰す。アタシの大事にしているモノに手を出すヤツは、魔女だろうと魔法少女だろうと普通の人間だろうとすべて潰す」
『……っ!!』
トウコの威圧を放ちつつの宣言に、ななか達が思わず息を呑む……まあ気持ちは分かる。
「楽しそうね、トウコ……」
「あはは……それにしても、相変わらず強烈だよね……」
「うぅ……燈湖さん、そ、そのくらいで……」
どんな教育されたらこんな威圧を放てる娘が生まれるのか、戦い慣れしている私ですら意味不明だもの。
《い、威圧……威圧はやめてぇ……》
というか、一番慣れているはずの親友であるカトレアが一番怖がっている、いや、知っているからこそかしら。まあ、かく言う私も怖い。
《ふふっ、やはりトウコさんは素敵ですね》
……この場で純粋に喜んでるだけなのは、デンドロビウムくらいよね。
「燈湖さんの威圧、やっぱりすごいキくなあ……」
「前言撤回ネ……目にするまでもない、圧倒的強者にしか出せないの覇気ヨ」
ななか組の格闘家二人ですら震えて……あら、どちらかといえば嬉しそう? 武者震いとかいうヤツかしら。
「……あきらとかこの反応はいつも通りとして。ななかと美雨も、予想通り強いな」
威圧を消してから、トウコが嬉しそにそう呟く。
「……ふう。どうやら試されてしまったようですね……私達は合格でしょうか?」
「まあそうだな。お前達の精神力とななかの固有魔法があれば、近いうちに飛蝗を捕捉できるだろうぜ」
ふう……どうやら、目的があって威圧を放ったらしい。
「お前達のチームには入らない。だがバッタ討伐は手伝う」
「メリットがないのでは?」
「ないなら作ればいいだろ?」
「作ったつもりなのですが……なるほど、別のメリットが欲しいと」
「その通り。要するに、アタシが求める条件でいいなら手伝うってことだ。そこで――」
話の途中で唐突にトウコがみたまの方を見る。すると、私を含めて全員が一斉にみたまに視線を向ける。
「うぐ? ……な、なによみんなして。そんなに見つめられると恥ずかしいわぁ」
ちなみにみたまは、我関せずといった感じで一人、ジャムのようなモノをたい焼きにかけて美味しそうに頬張っていた。よくわからないけど、私の勘があのオレンジ色っぽい謎のジャムは食べ物じゃないと言っている。
まあそれはそれとして。
「みたまに頼みたい事があるんだが」
「あらあら、何かしらぁ。ここで私にってことは、調整屋さんにってことでいいのよね?」
「そんなとこだな」
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