バッタ討伐とフリーの傭兵 2-2
そんなこんなで、次の土曜日。燈湖の情報をもとに、参京区にある水徳商店街の一角に無料で開いている、「エミリーのお悩み相談所」とやらに来ていた。
なんでも、ここの相談役である木崎衣美里さんは魔法少女で、かなりオープンな性格らしく、魔法少女相手なら自分の固有魔法すらも喜んで開示してくれるらしい。
いわゆるギャル系の性格の娘らしく、私としてはちょっとだけ苦手意識があるけど……まあ、ひとりじゃないし多分大丈夫。相談する時は女王様に代わる必要があるしね。
今日は燈湖は一緒していない。なんでも為次郎さんと出かける用事があるとかで、神浜市内にすらいないので、応援も期待できない。
代わりに、というと失礼かもだけど、今日はこのみさんが一緒してくれていた。
「いつも燈湖ちゃんに任せきりだったから、私もちょっとでもお役に立ちたかったの! 私、学年的にも魔法少女としても先輩だもん!」
普段バイトに勤しんでいるから仕方ない部分もあるけど、このみさんは魔法少女の先輩らしいことがあまり出来ていなかった事を気にしていたらしい。張り切るこのみさん可愛い。
「えっと、入る前に確認しよっか。今日の目的は、エミリー相談所の相談役のエミリー先生と、よく相談所にいる竜城明日香さんに用がある、だったよね?」
「はい、それで合ってます」
《さて。じゃあ予定通りに代わるわよ。カトレアも、不安はあるだろうけどキチンと遮断してなさいよ》
「ん、了解」
△ ▼
「代わったわよ、このみ」
「うん、その口調と雰囲気、間違いなく女王様の方のカトレアちゃんだね。じゃあ早速、お邪魔しまーす!」
「お邪魔するわよ」
扉を開けて一声かけ、入室する。
「自害します〜〜!!」
「「何事!?」」
いきなり修羅場?に遭遇するのは予想外過ぎた。
「気にしないでね。この娘の「自害します」は、恥ずかしい失敗をした時の口癖みたいなものだから」
「お、お騒がせ致しました……」
「穴があったら入りたい、みたいな意味かな?」
「かしらね。でもそれで自害はさすがにどうなのよ」
なんにしても、修羅場でもなんでもない日常の一コマらしい。
「私は美凪ささらよ」
「竜城明日香です!」
あら、いきなり目的の一人目に会えたわね。
「私はカトレア。よろしくね」
「春名このみです!」
とりあえず自己紹介されたので返す。
このまま本題に入るのもありだけど……エミリーの相談所に来たのだし、まずは先にエミリーに挨拶するのが筋よね。
「ところで、今はお二人だけですか? ここの相談役の木崎衣美里さんは?」
「あー、タイミングが悪かったね。ほんの数分前に休憩しに出かけちゃったのよ」
このみが話を進めてくれるけど、どうやらすれ違ったらしい。
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