ひび割れる声、音
Zzz…
「んー…」
雨よけの上で目を覚ました。
なんだか喧しい音がする。
段々と意識が覚めて行く。
「(何でここ来たんだっけ…)」
思いだす。
「(朝起きて…朝食食べてて…、
そんで叱られて…)」
そこでようやく思い出した。
「式典!!」
今日は年一回の式典で帝都は1日中祭りだ。
ハッとして城下の街を見ると、
かなり賑わっていた。
異国の人々も沢山いる。
身をひねって雨よけから
窓枠に飛び込み、自室から飛び出した。
広い廊下を駆けて大広間を突っ切り、
城の外に一直線に向かう。
あと少しで出口の曲がり角で、
誰かにおもいっきりぶつかった。
反動で尻餅をついてしまった。
「いててて…」
「おい大丈夫か?ステラ。
ちょうど探してたんだ」
ぶつかったのはルチェット兄さんだった。
「ほら」と言いながら手を差しのべてくれる。「大丈夫だよ、一人で立てるから」
そう言って立ち上がる。
「で?探してたって?」
「式典のパーティーの準備、手伝ってくれ」
「えぇ~?」
式典の際には城の中にある大きなダンスホールで
パーティーが行われる。
その他様々な時にダンスホールが使われ、
パーティー等の時にはいつも
テーブルやら料理やら食器やら飾り付けやら、
その準備で城内は大忙しになる。
「手伝わないと、また父様に叱られるぞ?
「手伝いもしないで何してたんだ!!」ってな」
下手な声真似をしながら兄さんが言う。
「はいはい分かったよ行くよ、はぁ~…」
深いため息をもらしながら渋々兄さんに
ついていく。
「そういえばさ」
道中で兄さんが言う。
「ん?」
「今朝の朝食の時、父様が言ってたけど、
また剣舞のテスト、赤点だったのか?」
「あぁそうだよ、
ホントは剣舞だけじゃなくて術力もなんだけどね…」
このガラクシア帝国の民は大半は皆、
「アビリティ」と呼ばれる力が使える。
単純に言うならいわゆる特殊能力的なアレだが、
大体生まれついた時から決まっているらしく、
人によってどんな物かは違う。
危険で攻撃的な物もあれば、
平和な、日常生活で役に立つような物もある。
その他、基本学べば誰でも使える用になる、
「スキル」というのもある。
これいわゆる魔法だとか、その類いだ。
ガラクシア王家一族は代々、
そのアビリティとスキルを
受け継いでいるのだが、ステラは
苦手なのだ。
なのでそのアビリティやスキルのレッスン、
「術力」も赤点だった、という訳だ。
因みにステラは、
まだガラクシア王家が受け継いだ、
[ガラクシア]のアビリティしか使えない。
そんなこんな話している内に
ダンスホールに着いた。
「それで兄さん?俺は何を手伝えば?」
「ああ、ちょっとこっちに来てくれ」
ダンスホールの舞台の幕の内側に
連れていかれる。
「じゃあ少し待ってて」
と兄さんが扉から出ていった。
おそらく、飾り付けを手伝わされるのだろう。
「(あぁ~めんどくさいなぁ…
大体、使用人達がやってくれてんだから任せとけばいいのに、何で俺まで…)」
と、心の中で愚痴を漏らして待っていたのだが、
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