そして絢瀬絵里は三船栞子を助ける
おめかしした理事長とばったり顔が合い、娘に会いに行くと言われ「ああ、卒園式の時期ですよね」と反応したら「確かにその時代の娘も可愛かったけれど」と。
卒業も卒園も三月で今は二月、会いに行くのは中学三年生の娘と訂正されたので「元μ'sとはいえ過度な期待をしないようお伝えください」とメッセージを飛ばしておいた。
「顔合わせをするつもりなの?」と返され「ココにつれてくるつもりなのでは?」と反応したら「ツバサちゃんもそうだけど、なんでそんなに観察眼があるの?」なんて。
立場のある人が時間を作って会いに行く、血縁者とは言え、フツーは娘の方から会いに来る。
仕事云々の価値観が分からない相手ならともかく、オンオフのスイッチをはっきりして、私やツバサに情を持ち込まないで手玉に取ったくらいだ、教育だってちゃんとしているはず。
関係性云々は推測の域を出ないけれども、手練手管を努めず「頼めば来る」と考えてそうだから良好であるに違いなく。
「理事長の権限を下剋上されないようにしないとね」
「人に勝つのはともかく、上に立つのは興味ないです」
理事長の権限を巡って勝負を仕掛けられれば「やるだけはやってみる」と、それに礼節を伴って「勝負」と言われれば土俵くらいには立つ。
ヘラヘラと笑われながら「ちょっとやってみろや」とされれば「相手を逆なでするくらい手を抜いて」みるけども。
娘さんにどうぞよろしくと見送りながら「人の上に立ったところで大したことは出来ない」と自嘲する――
思春期からそれを抜け出すまでの時期。
人は自分が世界の中心であるように勘違いする時期がある――無いとは言わせない。
残念なことに自分にもそういう時期があって、中途半端に能力があったものだから「自分にできることって大したことない」と気がつくまでには時間がかかった。
大したことないを認めがたい時期にμ'sの結成に携わったのも、自分にとってはとんでもない汚点であるし、認めて以降、多少はっちゃけたのは皆々からネタにされている。
先日、果林ちゃんが寮に住みはじめて三年目になろうかとするのに、トイレに行こうとして迷うイベントがあったけれども、私も生徒会役員時にUTXで迷ったことがある。
先輩に「大丈夫です! 一人で出来ます!」と啖呵を切った手前、阿呆にも助けを求めることもせずに歩き回り、一人の女の子に助けられた。
その子とは現在でも縁があり、大学時代には暇を有していたことから正気を疑われるレベルで交遊し、顔を合わせるのは月に一度程度と定められた。
なお、様々な変遷を経ながらも文章での交流は毎夜続けられているので、見つかればただでは済むまい。
が、文章での結びつきから、妹の彼氏が彼女の弟であると導き出され、触れて良いものか良からぬか、ヒナは隠したいご様子なので準ずるつもりだし、何度か顔合わせしているのに彼女の弟だと気が付かなかった不備もある。
ケド、気づかなかったとごまかせるほど私のスキルも高くないので、いざとなれば腹を切って「コレが姉にできること」とか言ったら許してもらえると思う。
死してもなお許されないのであれば、しでかした事態の大きさを認識し、閻魔様にでも愚痴るつもり、おそらくツバサや凛よりは口も悪くないに違いなく。
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