15.閑話~サイバーダイン・システムズ~
サイバーダイン・システムズ社――日本屈指の大企業の一つ、アンブレラ・コーポレーションと双璧を成すワールドワイドな企業である。
今や飛ぶ鳥を落とす勢いの「呪霊GO」の開発運営元。その人気は、美少女を捕まえた育成及び対戦するだけに留まらず、特定の条件を満たせば下級呪霊が憑いてくれるという事実だ。その影響のお陰で、旧時代の呪霊達が徐々に数を減らす。
呪霊による行方不明事件数が激減する様な社会的貢献をする会社である。
サイバーダイン・システムズの本社地下には、特別な部門が設けられている――呪霊及び呪具の研究開発部門。その場所こそ、「呪霊GO」の運営チームが拠点としており、夏油一派との密会場所でもあった。
しかし、密会場所であったこの場所は既に夏油一派の生活拠点へと変わりつつあった。何不自由ないこの場所……呪術師達の通話記録、現在地、霊的ネットワークによる呪霊達の状態もここで一元管理されていた。食事を頼めば一流のシェフが旬の食材で最適な料理を用意してくれる。ココを出て行く必要性が全くなかった。
その施設内を義善聖徳と漏瑚が共に歩く。そして、明るい何もない空間を前にして、足を止める。
『にしても、義善。お主、本当に人間か?肉眼では、見てないにしても、あれらをみて何か思うことはないのか?』
「特級仮想怨霊でしたか。感謝の念しかありません。怨霊に一定の方向性を持たせて望む形を作り上げるのが我々の独自技術。これから産まれてくる彼女達こそ、我々の……いいえ人類の希望です。そうは、思いませんか漏瑚様」
地下の隔離施設では、呪術師達に高い金を払い呪力が漏れない特殊壁を造り納品させていた。その素材で囲まれたこの施設の呪力が外に漏れ出すことはなかった。
『ふん、確かに義善がやろうとしている事は儂が目指していた呪霊こそが本当の人間になりえる方法だろう。手段は、好みでないが到達点は同じだと考えている』
「えぇ、100年後の日本の頂点には、間違いなく呪霊が立っているでしょう。私としては、そんなトップ…王には、漏瑚様が相応しいと思っているのですがね。その肉体になり、影を操る能力、不死性、エナジードレインなどの能力も得られたはずです。今では、両面宿儺の指に換算して12本分でしたか」
短期間で呪霊として格段に力を付けた漏瑚。だが、そんな漏瑚でも本気の五条悟を相手にして生き残れる自信はなかった。だからこそ、まだまだ準備を怠らない。
その一環が、呪具の作成だ。足りない部分は、道具で補う。当然のやり方だ。
『呪力が増した件については、感謝しとる。それも、非呪術師のおかげというのが更に驚きじゃ。義善は、生かす価値のある人間だ。で、褒美は何が欲しい? 他の奴ら同様に分霊か?』
「おや、頂けるのですか? 今まで、結構しぶっていらしゃったのに」
『そりゃ、ただの非呪術師のくせに、一体何体の特級呪霊を手駒にしている。ここまで増えてしまったら、儂の分霊を渡したところで変わらん。何より、儂だけ分霊を渡していないと、ケチ臭く思われてかなわんからな』
「有り難く頂戴致します」
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