18.呪胎九相図(2)
虎杖悠仁……やると言ったらやる男だ。
だが、そんな彼でも、血塗が持つ呪具に目が奪われる。禪院真希が所有している呪具と違い、時代を感じさせない近代兵器――レイジングロアと呼ばれるガトリング。人間相手に使えば、ミンチを作るなど朝飯前。直撃したら呪力で肉体強化しても、耐えられない。
そんな、重質量の兵器を片手で軽々と持ち上げていた。
「なぁ、伏黒。人間、呪力で強化すればアレに耐えられると思うか?」
「それができたら、呪術師じゃなくてX-MENにでも入れて貰え。東洋のハルクになれるぞ」
だが、あんな大物であれば懐に入れば問題無いと考える虎杖悠仁。
『貴方の事は聞いているわ。近接用にロングブレードにもなるのよ』
ガコン
血塗が柄の当たりを操作するとロングブレードに早変わり。一体、どんな変形機構が導入されているのか謎兵器である。だが、男というのは、こういうのが大好き。
「か、かっけーーー!! 今の見たか、伏黒。一瞬で大剣に変わったぞ。スラッシュアックスみたいで超かっこいい」
「虎杖も分かっているな。アレはロマン兵器だ……世の中、あんな呪具があるなんて。誰だよ作った天才は」
男達が、小学生みたいに騒ぐ。
釘崎野薔薇だけは理解できなかった。重い、でかい、壊れやすそう。火力だけは高そうだが、メリットよりデメリットがある兵器など欠陥品だと彼女は思っている。金槌と釘だけという、隠匿性、利便性、汎用性、整備性などを考えればどちらに軍配があがるかは言うまでも出ない。
だが、それがいいのだ。
「男って、ばっかじゃないの。あんなの使いづらいだけじゃん。って、虎杖!!」
虎杖悠仁が血塗に背を向けた瞬間。
血塗のロングブレードから黒い何かが飛び出してきた。そして、大きな口を開けて、虎杖悠仁を捕食しようとする。彼女が持つ武器の第三の形態……捕食モード。呪霊や人間を喰らいエネルギーに変える。
釘崎野薔薇のかけ声のおかげでギリギリ捕食を回避した虎杖悠仁。
『外れましたか』
「あ、あぶねーーー。助かったわ、釘崎」
「次は助けねーーからな。しっかり、殺れ」
ロマン兵器を持っていても敵。痴女であっても敵。虎杖悠仁は、スイッチをいれる。ここで倒れたら、仲間が危ない。確実に戦闘不能にすると集中力を高める。
………
……
…
虎杖悠仁は、確実に相手の体力を削っていった。人型というからには、急所も人体と同じである。
『強いわ。あまり、楽しくないわね』
一方的に殴られるばかりの血塗。今まで積み上げた実戦経験が違う。それを身にしみて理解し始めていた。真人がもう少し実践経験を積ませてから送り出していれば状況は違っただろう。
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