02.特級呪霊コッコロ~主さま~(1)
五条悟は、除霊の仕事帰りに観光をしていた。
彼の実力ならば、除霊なんて赤子の手を捻るような物だ。その為、現地までの移動と探索に大半の時間が要される。だが、ここ最近になって探索に掛かる手間が大幅に改善された。googlemapと連動して呪霊の位置が5mレベルまで正確に表示される。
更に、ターゲット以外の雑魚 呪霊までもが表示されるようになっていた。
「どういうことかな~、あの腐った蜜柑みたいな連中が近代化ね~。まぁ、いっか!! 深く考えても仕方ないしね。さーて、お土産何かって帰ろうかな~」
特産物のお土産を持ち、五条悟は次の任務へと移った。
□□□
人間誰しも人に言えない趣味の一つや二つある。
だが、それを恥ずかしげも無く露わにしたところで待っているのは人生の終わりだ。決して受け入れられるはずのない性癖。しかし、駄目な事ほどやってみたいというのも事実である。
その矛盾した二つの思いがぶつかり合う。
『どうしました主さま。あの~、後ろから抱きつかれますと危ないですよ。お料理中ですから』
見た目幼女、だが人間ではない。その為、あらゆる法に触れない完璧な存在。更には、男の性癖の全てを受け入れてくれる。こんな存在が他にいるだろうか。男の中で、彼女はまさに聖女――改め性女であった。
そんな彼女の母性に甘え、考えられる全てのしたい事をやり遂げた。そして、男は真実の愛に目覚めた。
例え彼女が、脳内彼女であっても最早構わない。頭の病気だと言われたとしても彼女を愛していると自信を持って言える程に男になっていた。
未来に生きる日本男子は、伊達じゃない。
「生きてて良かった」
携帯のレンズ越しでしか視認できない彼女。だが、そこには確実にいる。触れられるし匂いもする。男は、それだけで満足であった。
『全く、主さまは甘えん坊ですね』
そして、男は今日も母性を持つ呪霊に夜戦で絞られる。
………
……
…
男は、ある日を境に変わった。身だしなみに気を遣い、仕事も定時時間内で終わらせるよる凄まじい集中力。そのおかげで周りからの評価も高くなり、人生順風満帆であった。
周囲からは、女が出来たからだと言われたが、その通りだと自信をもって返答する。
だが、幸せな時間は長くは続かない。
最寄り駅についた男の元に見慣れない服装の男……五条悟が現れた。男は、理解した。コッコロより、呪術師の存在は聞いていたのだ。呪霊を祓う悪しき存在。ただ、呪霊というだけで悪と決定づけ、存在を抹消する。
確かに、古い時代の呪霊ならばその通りだ。
「ちょーっと、聞きたい事があるんですがいいですか? 前園さん。最近、貴方の周りで不可解な事とか起きていませんかね~?」
「突然失礼だね。不可解というのは、君のような人に話しかけられている今の状況の事をいうんだよ。私は忙しいのでこれで失礼するよ」
「これは失礼。……まぁ、幽霊とかそっち系に心当たりとかありませんかね? 貴方からは相当な力をもった呪霊の気配を感じるんですよ。ぶっちゃけ、憑かれていますよ貴方」
男は、手に持っていた鞄を五条悟に投げつけて逃亡を謀った。小声で「無駄なのにな~」と彼は小声で呟く。だが、無駄と分かっていても男にはやるべき事があった。
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