優心の家に向かって
「見つからないって・・・端っこになかったのかしら?
まあいいわ。ゆっくり休みなさい」
ホーリエは神浜の端という端を探したが、ついに優心のもう一つの拠点は見つからなかった。
だが、ある物を見つけたらしく、ふるふると震えた。
人工妖精と意思疎通ができるのは華宵だけなので、鉄雄には震えているようにしか見えないが。
「えっ、優心の住んでいた場所を見つけたって?どこ?
・・・里見メディカルセンター?あっ」
よくよく考えてみれば、優心の苗字は里見だ。
それに神浜市に住んでいた。何か関係はあって当然のはずだった。
「・・・親友の日記や手記から、何かわかるかもな。
まあ、アイツが書いていればの話なんだけどな」
それに対して、かこは難色を示した。
「それは少し危険だと思います。
里見灯花という子がいるんですが、その子も魔法少女なんです。
その子はその子で、光の木とは別に災害を起こしたので監視中で、
もし鉄雄さんたちが行こうものなら・・・」
「相手の懐に飛び込む、ということになるか」
鉄雄はテキパキと本を整頓しながら言った。
彼は住み込みでバイトをすることになったのだ。
都会というのは、とにもかくにもお金がかかるのだから。
おそらく、光の種を完全に蒔いても、経済システムは変わらないだろう。
「まあ、優心の友達と言えばある程度は通してもらえるだろう。
嘘じゃないもんな。それに、ただの友人である一般人に何かするとは思えんし」
「それなら、私と一緒に行った方がいいと思います。
ほむらさんは店番をお願いします。華宵さんは何もしないでください」
「私が何したっていうのよ!」
「本の上に紅茶を溢したこと、まだ忘れませんから」
「それ一年前のことじゃない!」
「そもそも、鉄雄さんたちのこと噂になってるんです。
ネジレを狩る三人組・・・ネジレ探偵って。
三人組で行動したら、怪しまれるに決まってるじゃないですか」
この時から、鉄雄たちは化物のことをネジレと呼ぶようになった。
なんとなく響きがよかったからである。
「その点、かこさんは魔法少女だから一緒にいれば怪しまれない、と」
「そういうことです。あと、普通に日本語で親友と言ってください。
変な感じに怪しまれるので。皆が皆、鉄雄さんみたいに韓国語を知ってるわけじゃありません」
「へーいっと」
こうして二人で里見メディカルセンターまで向かうことになった。
街は多少荒れてるが、いずれ復興するだろう。というか、復興の真っ最中だ。
作業員が生気の抜けたような顔をしているのが気になるが。
これもまた、光の種の影響であろう。
「一歩違っていたら、見滝原もこうなってたのかもな」
「でも、皆が力を合わせたおかげで倒すことができました。
それに、優心さんの光の木も・・・本人はそのつもりではなかったかもしれませんが」
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