ハーメルン
【完結】ハンターハンター世界で転生者が探偵()をする話
ラブこめ! [後編]
気を取り直して調査を続ける。
一応、ハンナたちからも捜査協力を
黙示
(
もくし
)
の意思表示で受けているような状態だから、特に咎められたりはしないはず。
とは言っても、ほとんどが俺の自己満足だ。だが、メンチ同様、俺にも譲れないものはある。
こんな中途半端な状態では終われない。終わりたくない。発なしでもこの事件の真相に届いてみせる。その衝動に嘘はない。珍しくな。
というわけで現在の目的はアダム・パースとエクレだ。
地元警察はパーティー関係者に対して「数日はホテルに滞在するように」との要請を出した。強制力はないため、受け入れるかどうかは個人の判断によるが、多分、エクレは残ってるだろう。けど、アダムはめちゃくちゃ忙しそうだからなぁ。
まずは警察にアダムについて聞こうと思ってたら、普通にアダムを発見した。つーか、警察と話してた。なに話してんだろ?
「駄目ですか?」
「えーと、一応、現場の物なのであまり触ってほしくないのですが……」
んー? アダムが何やらお願いをしてるのか? 揉めるまでは行ってないようだけど、お互いに困ってる感じだ。
「どうしたんですか?」
「あ、エヴァンさん」
2人が俺を向き、警官の兄ちゃんが説明する。
「なんでも、アダムさんがステージにあるピアノを弾きたいのだそうです」
「……え? そうなんですか?」
アダムに視線を送りつつ、問うと、アダムが頷いてから答えた。
「ええ。僕は弾かないといけないのです」
「なるほど」
とりあえずテキトーに相槌を打ったが、もしかして制約と誓約だろうか? だとしたら弾かせてやりたいけど、この状況はなぁ。でも強硬に駄目って言うと帰りそうだ。念能力者ということで周りよりは疑うべき人物だし、できればいてほしい。
味方してみるか。
「いいんじゃないですか?」
「え、いや、そういうわけには……」
警官の兄ちゃんは困り顔だ。まぁ、そうだよね。我ながら妙なこと言ってるとは思うよ。
「アダムさんは真犯人なんですか? 違いますよね?」
「? そりゃあ違いますけど……」
「ピアノを弾かなければいけない、なんらかの事情もあるのですよね?」
「……はい。上手くご説明はできませんが、その通りです」
嘘はないように思える。心理学上の、嘘をつくとき特有の特徴は見受けられない。加えて、オーラも平静なままだ。
クルっと警官の兄ちゃんへ顔を向ける。あ、嫌そうな顔された。まぁ、構わず行くんだけど。
「というわけで許可してあげてはどうでしょうか?」
「えーと……」
「どうしたんだい?」
お、向こうから来てくれたか。やって来たのはエイデンだ。
早速、警官の兄ちゃんが事情を説明する。聞き終わったエイデンが「申し訳ないが」と前置きしてから、
予想通り
(
・・・・
)
のことを言った。
「どこに重要な証拠があるか分からない以上、許可はできない」
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