アイシャAfter⑤寝物語
「……アルス君も? えへへ、うれしいな」
もぞもぞ。
ぺちん。
「でもこれはだーめ。明日の任務、ちゃんと終わらせてきたらいっぱいしよ」
「ねね、アルス君はもっと子供いっぱいほしい?」
「うん。あたしもあとふたりくらいは欲しいかなぁ。ルロイ君もかわいいし、もっと子供が増えたらきっともっと幸せでいっぱいになれると思う」
「……あたしは男の子でも女の子でもいいかなぁ」
「そっか。アルス君は次は女の子がいいんだね。……えー、あたしに似たらかわいげのない子になるよ」
「自慢じゃないけどあたし、子供のころから他の人ができないことがあるって、すごい鈍くさいと思ってたからね」
「ちゃんと練習すれば誰だってできるのに、やらないからできないんだ。バカだなぁって思ってた」
「今はね、向き不向きってのがあって、誰でもなんでもできるとは思ってないよ」
「でもそんな当たり前のことがわかってなかった。あたしが一番バカだったんだね」
「それがわかったのはアルス君とふたりで逃げた時。……ちゃんとお兄ちゃんから逃げられると思ったし、うまくやれると思ってた」
「でもうまくやれなかった。お兄ちゃんに見つけられちゃったし、見つからなくても今みたいに幸せにはなれなかったと思う」
「なんでもわかってると思ってたけど、幸せになるってことが全然わかってなかったんだね」
「だからお兄ちゃんに見つかったことも、そのあとアスラ王国に行ったことも仕方なかったと思ってるよ」
「アスラ王国でね、いろんな人と知り合いになったんだよ」
「あたしって、ずっと家にいたからね。お兄ちゃんたち以外の幸せを見たことがなかったんだ」
「いろんな形の幸せがあって、いろんな幸せな人たちの顔を見て」
「あぁ、幸せってこんな風になるもんなんだぁ、って思ったんだ」
「それで改めて思ったの。アルス君と幸せになりたいなぁって」
「だからね、あの経験があったからあたしは今幸せになれたんだって思ってるよ」
「そうだね。今のあたしなら、あたしみたいな女の子が産まれても小さいうちに間違いを教えてあげられるかな」
「……えへへ。改めて言うね。あたしをもっと幸せにしてね。約束だよ」
ちゅ。
「うん。そろそろ寝よっか」
「もうちょっとぎゅってしてくれると嬉しいなぁ、とか」
ぎゅっ。
「えへへ、嬉しい。それじゃお休みなさい」
「うん……明日も頑張ってね……」
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