ハーメルン
無職転生 アイシャAfter
アイシャAfter⑥ルイジェルドとノルン


「ぐっ!」

カウンターで蹴りをもらう形となったアルス。

しかし、そのまま着地すると、再度ルイジェルドに向かって剣を構え突進した。

「ガアァァ!」
「……ふっ!」

ガガガッ!!

今度はルイジェルドも守勢には回らない。
激しい勢いで木剣と木の棒が打ち鳴らされ、すごい速さで互いの位置が入れ替わり続ける。

しかし。

「――ハァッ!」

ルイジェルドの気合一閃。
アルスの木剣は大きく弾かれる。

そのままルイジェルドの木の棒はアルスの胸の中央にぴたりとつけられた。

「……参りました」

アルスの動きが止まる。

「そこまで!」

エリスの宣言が響き渡った。


‐‐‐


ふう、と互いに息をつく。


「――腕を上げたな、アルス」

「いや、全部完封されたじゃないですか。やっぱりルイジェルドさんは強いですよ」

「俺とて余裕ではなかった」

と言ってアルスに手のひらを見せるルイジェルド。
彼の手のひらはべっとりと脂汗がにじんでいた。

試合の時間は5分もなかっただろう。
だが歴戦の勇士ルイジェルドにして冷や汗を感じさせる勝負だったのだ。

「もし光の太刀を使われたら俺とて防げはしない。実戦ならば負けるのは俺かもしれんな」

「……多分、まだ無理ですよ」

アルスが答える。

「ルイジェルドさん、お疲れさまでした」

エリスのそばで試合を見守っていたノルンとルイシェリアが駆け寄る。

「――ああ」

ノルンが差し出したタオルを受け取ると、体をふき始める。


一方。

「アルス君、すごーい! かっこよかったよー!!」

同じくエリスのそばから駆け寄ったアイシャはアルスに飛びつくと、ぎゅっとアルスを抱きしめる。

「ぱぱ、しゅごーい!」

その周りをルロイがくるくる回りながら母の言葉を繰り返す。


「アルスはまだまだね!」

エリスは得意の大きく足を広げ、腕を組んだポーズを作ると、アルスに声をかけた。

「素振りと走り込みが足りないわ! 格下相手なら問題ないでしょうけど、格上相手の戦いで剣がぶれるのは体力と握力が足りてないからよ!」

「はい!」

アイシャにしがみつかれながら、直立不動になりアルスが答える。

「じゃあ屋敷に戻ったらアルスはルイシェリアとルロイの稽古! ルイジェルドは私たちとお茶ね!」

「わかりました!」

「――ああ」


‐‐‐


「ルーデウス! そんな感じだったわ!」

「そうか、そこまでいい勝負だったのか」

試合のあらましをエリスとルイジェルドから聞いた俺は自分も見に行けばよかったかと思った。

部屋には俺とエリス、ルイジェルド、ノルン、アイシャ。

転移陣を使ってルイジェルドがノルンとルイシェリアを連れて遊びに来たのが今日。
アルスがさっそくルイジェルドとの稽古を申し出たのだった。

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