ハーメルン
無職転生 アイシャAfter
アイシャAfter⑦スキンシップ

「はぁ……」

最近、アイシャのスキンシップが激しい。

「お兄ちゃん、膝に座っていい?」

とか。

「お兄ちゃん、あーんして!」

とか。

「お兄ちゃん、頭なでてくれない?」

とかだ。

別に嫌なわけではないのだが、こう頻繁だとびっくりする。
アスラ王国から帰ってきてからこっち、ずっとそんな感じだ。

ちゅーして、とかは言ってこないので、そこから先はアルスに満たされているのだろうか。
シルフィたちも最初は驚いていたようだが、今はほほえましいものを見るような目で気にしないようになっている。

どんな心境の変化かわからないが、いいことなのだろうか。
30超えたおっさんと30間近の女性の関係性としてはよろしくないのではとも心配になる。

アルスはどう思っているのだろう。
亭主の意見をちゃんと聞いてみたほうがいいのかもしれないな……。


‐‐‐


「ただいまー!」

アルスはグレイラット邸の扉を開けながら挨拶をした。

「アルス君、おかえりー!」

どひゅん。

そんな音がしそうな様子でアイシャが飛び出してきた。

「大丈夫? ケガとかしなかった? 風邪もひいてない?」

アルスにしがみつきながらアイシャが問いかける。
家を空けていたのはたった3日だったのだが、数か月ぶりに会ったかのような心配ぶりだ。

「大丈夫だよ。ケガも風邪もないよ」

ふわりと笑ってアルスが答える。

「そっかー。よかった!」

アイシャは花のような微笑みを浮かべた。


‐‐‐


アルスが帰ってきた。
さっそく聞いてみようと思う。

「おかえり、アルス」

「ただいま、パパ。――ルロイはどこに?」

「庭でロキシーから魔術の授業」

「じゃあちょっと挨拶してきますね」

――うーん。どう言い出したらいいのかわからん。

「無詠唱魔術の練習でした。気を散らしたら青ママに悪いので放っておきます」

アルスが戻ってきて言う。
無詠唱魔術の練習は無言で自分の中の感覚とにらめっこしないといけないからな。
確かに人がいると邪魔か。

「今回の任務はどうだった?」

「そうですね。オルステッド様にはもう報告したのですが、アスラ王国で100人規模の盗賊団の壊滅でしたよ」

「100人か。そりゃ多いな」

「苦戦はしませんでしたよ。ルード傭兵団に協力してもらって、正面で騒ぎを起こしました。手下が気を取られている隙に俺が裏口から忍び込んで幹部を叩きのめして終わりです」

「そうか」

「逮捕とかはアリエル女王が手配してくれた騎士団にあとを任せちゃいましたからね。楽な仕事でしたよ」

それは確かなアルスの実力あってのものだろう。
例えばエリスだったら忍び込むとか考えもしなそうだし。
俺でも上級剣士が複数名いるかもと考えるとひとりで手練れ数人を相手にするとかやりたくない。

まだ拠点を丸ごと吹き飛ばす方を選ぶかもな。

「アルスくーん、今日はこっちで晩御飯でいーい?」

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