「やぁやぁ、おめでとう」
俺以外が全員倒された為に戦いは終わった。
森から元居た場所に連行されていくと1番最初に出た笑みが胡散臭い男が拍手を送られる。
1番になるなんて早々に無いことで、喜ばしいことだが男が送っている拍手が酷く濁った音に聞こえる。
「玄界の人間は戦ったことのない人間が多いけど、君は中々にやるね。剣一本だけだと出来ることが決まっているのに、よくやったよ」
「……」
「そう嫌そうな顔をしないでくれ。素直に称賛しているんだよ?」
「そんな胡散臭い笑顔を浮かべられても困る」
さっきまで殺しあいみたいな事をしていた。
その事についてよくやったと褒められても嬉しくはない。もっといいところで褒めてほしいが、少なくともコイツはごめんだ。
「君は落ち着いているね……いや、落ち着きすぎかな?」
「なにが言いたいんだ?」
「どんな言語かは知らないが慌てふためいたりする奴等が多く居たのに、君だけはやたらと静かだと思ってね……まぁ、訳の分からない言葉で色々言われたりするよりは何億倍も増しだからいいけど」
遠回しにお前は怪しい、警戒はしていると言ってやがるな。
とはいえ、既に戦闘用と思わしきトリガーを取り上げられており俺に出来ることは少ない……。
「色々と聞きたいことがある」
ハッキリとした上下関係はあるものの対話と会話は成立している。
今まで気にしないでいた事を色々と聞く機会だと訪ねようとすると待ったをかけると言わんばかりに手を伸ばして口を塞ぐ素振りを見せる。
「此処が何処だとか何者とかそういった事は答えるつもりは無いよ」
「少しぐらい言う間をくれよ」
「違う違う。教えるつもりはあるよ。ただ単にその辺りは明日からみっちりと教えるだけだ。なにせ此処は所謂別世界の一種で君が暮らしていた世界とは大分違っている」
「……随分とご丁寧だな」
拐われた奴等に対して1から説明をする時間をくれる。
普通ならば馬車馬の如くこき使うのだろうが、俺に関しては丁寧に扱おうとしている節がある。
「当たり前だ。君は勝ち残ったんだから、これぐらいの待遇はするだろう」
「……勝ち残ったから、か」
「そうだ……まぁ、言葉すら通じないから他が勝っても意味は無さそうだけど」
今後の待遇を決めると言う事はそういう事だったか。
俺が勝ったことで俺にはどういう世界でどういう状況かを聞くのと知ることが出来る権利が与えられる……。
「他はどうなってる?言葉が通じてない人達ばかりだったぞ」
結局のところ、日本語で喋っていたのは俺だけだった。
コイツらが喋れるのは現状、日本語だけで文字による会話は恐らくは不可能だろう。そいつらに対してはなにをする?そもそもで負けた奴等に対しての待遇が分からない。
「言葉は通じなくても、頭を弄る事は出来る」
「っ……」
「そう驚かないでよ。何処の国でもやっているよ」
ワールドトリガーの原作で記憶操作や記憶封印措置なんて単語が出ている。
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