「この国の名前はイアドリフ。平坦な道が多く20℃いくかいかないかの程好い気温が特徴的な国だ」
トリオン体だから大丈夫だと次々と訓練内容をこなしていった結果、俺だけ別に講習を受けることになった。
「他の国は年中雪が降っていたり、海の上にあったり、城塞都市だったり変わった環境のせいで育てられる農作物や家畜が限られている国もあるけどうちは程好い温度で大抵の物を作ることが出来る」
講習はこの世界についてだ。
ずっと名前が分からなかったこの国の名前を教えて貰い、与えられたノートに要点を纏める。
「土地の環境を理由に農作物が育てられないと言ったことは基本的にはない」
「俺達に与えられた土地、酸性の土だったじゃねえか」
「あれに関しては本当に偶然、ある意味奇跡だよ」
悪気は無いんだと胡散臭い笑みを浮かべるルミエ。
本当に偶然なら偶然で、事前の調査をやってくれてもいいんじゃないかと思うが、コイツそもそもでどれぐらいの立ち位置なんだ?
「平地が続き気温も比較的安定しているイアドリフだけど、欠点が無いわけでもない。欠点が分かるか?」
「地の利を生かせない?」
「その通りだ。この国は住むには最適な環境だけど、戦いには不利な立地でもある」
ワールドトリガーの原作で言っていた。地の利を生かす戦術は基本中の基本だと。
平坦な道が多くあるイアドリフは他所の国の襲撃があった場合、地の利を生かした戦闘を取ることが出来ない。平地なのを生かそうにも使える戦術が限られている。
「ある程度の高低差があればいいんだけど、平地が多くて戦いづらいんだよな……平地で使えそうな戦術を言ってみろ」
ここで更なる無茶を言ってくる。
フィールドを生かした戦術……平地と言う地の利を生かすって、どうやって生かす?
「自分の得意なフィールドに誘導する?」
「得意なフィールドって、なんだ?」
「……地雷地帯」
「ん~……まぁ、それも1つの答えだね」
ルミエは流石にコレは答えられないかと少しだけ残念がる。
平地じゃなくても自分の得意なフィールドに誘導する作戦は使える。平地だからこそ使える作戦……ワイヤー陣?いや、あれは立体的な動きが出来る奴とある程度大きなフィールドじゃないと使えない。今の俺には無理っぽい。
「本来なら狙われやすい国だけど、この国は特定の軌道を周回しない。特定の軌道を周回している国なら今頃は何処かの国に支配をされている。特定の軌道を周回しない性質のお陰で狙われる機会その物が減るだけじゃなく、従属国にする価値が下がる……なんでか分かるか」
「報連相が上手く出来ないからか?」
決まった軌道を持たずにいるとなると、周回をしている国と違って連携が取れない。
報告も連絡も相談も安定して出来ずにいる。従属しようにも、この報連相が出来ていなければ裏切りとか色々とありそうだ。
「まぁ、大まかなところはそんな所だろう」
ルミエも俺の答えに納得はしている。
一先ずの及第点は貰えたようだが、喜んでいる暇はない。この国も国としての価値は無さそうだが、それでも狙おうとする奴等は普通にいるんだ。
「今のところ何処かと大きな戦争はしていない。けど、何時かは大きな戦いを起きる。そうなったらジョン、お前には戦場に出てもらう」
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