夏油傑の献身
五条悟の作戦はシンプル且つ強引なものだった。
性別を女性に変更、自身に対する攻撃を無効化したうえで、肉弾戦で距離を詰め、ゼロ距離で最大火力の術式を叩き込み消滅させる。
女性に触れられている間は無防備なのはパンダの一件で実証済み。なら、後は互いの領域展開をぶつけ合い、相殺させ、本体を引きずり出す。それで終わるはずだった。
「「「「「「「「領域展開【くそみそテクニック】」」」」」」」」」
阿部によって召喚されたガチホモ全員が領域展開を展開するまでは。多重展開された領域展開によって、五条悟の領域展開が相殺され、飲み込まれる。
「ウソだろ、おい」
思わず、五条悟は呟いた。羂索らはこの時点で嫌な予感がしたため、逃亡を開始したが、周囲をガチホモに包囲されていた。全員が拡声器のようなものを持っている。
数百人のガチホモによる狗巻家の呪言の展開。
【【【【【【【【【【【【【【や・ら・な・い・か】】】】】】】】】】】】】
真っ先に影響を受けたのは真人だった。魂レベルで改造したはずの肉体が男性に戻り、一気に公衆トイレに吸い込まれていく。元に戻しただけなので、『危害』を加えたことにはならない。元に戻す行為は阿部の『縛り』には抵触しない。
「ちょっ、ちょっと待って。流石にこれはない」
しかし、時すでに遅し、真人は既にガチの虜だ。
「アッーーーー!」
掘られた生餌を女性にする要であった真人が五条悟乱入から数秒で掘られた。
「馬鹿な、何故全員領域展開を取得している!?」
羂索の理解では領域展開は一人につき、一つ、それを分け与えることなど、できないはずであった。しかし、阿部によって掘られたガチホモ全員が同じ領域展開を取得している。
真人が掘られた時点で、羂索の計画は修正が必要となった、真人以外にも性別を女性にする手段を用意しているが、未だに誰も公衆トイレから出てこない。阿部が五条悟を狙ってでてきたところを獄門疆に封印したほうがまだ可能性がある状況だ。
「やむを得ないか」
獄門疆を握りしめ、阿部を封印することを羂索は検討する。完全に五条悟と阿部に意識が向いていた羂索は背後から襲撃された。
「何!?」
小さい蜘蛛のような傀儡が足元から飛び上がり、羂索の手元から獄門疆を奪い去った。
そして、高速で走り去った。即座に傀儡を潰すべく、羂索が動いたがいつの間にか、阿部が目の前に立っていた。
「阿部の分身か、そこをどけ」
自分の身体が女性である以上、傷つけられないと理解しているが、故に呪力を込めた拳で殴り掛かった。
「んふふふ、あんた、女にも、男にもなれるみたいだな。俺には分かるぜ」
ニヤニヤと笑いながら、阿部はガチムチの呪骸をどこからともなく、取り出す。
術式【位置変更】
呪力や術式をまとった物体の位置を変更させる能力。それによって、羂索の脳髄がガチムチの呪骸の中に転送された。
「ま、待て!私にこんなことをして許されるとも」
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