愛すべき日常への帰還
【<UBM>【幽智霊血 スゥチェング・ヘイワン】が討伐されました】
【MVPを選出します】
【【ルン・バ・ンル】がMVPに選出されました】
【【ルン・バ・ンル】にMVP特典【霊公形代 スゥチェング・ヘイワン】を贈与します】
世界がボロボロと崩れていく。
今度は主人が死んで、世界を維持する者が居なくなったからか。
「主様。おんしが無事で良かった・・・」
酷く安堵した様子のカーソンが言った。今にも泣き出しそうだ。
現実世界の俺はログインしたと同時に意識がこっちに来ていたから、さぞかしビックリしたのだろう。
話を聞くところによると、どんな能力を使っていたのか、現実世界の俺の体も此処で起きたように傷ついているらしい。
寝たきりの植物人間がいきなり足から大量出血を起こしていたら俺もビックリするわ。
それはさておき。
「なぁ。此処から脱出するにはどうしたら良いと思う?」
カーソンが涙を引っ込めてカチンと固まった。勢いでこっちに来たのか。
俺と奴もだ。その場の勢いで帰還手段を用意して貰うのを忘れて、奴にとどめをさしてしまった。
ここって体に起きた事が現実に反映されるんだよな。
世界の崩壊に巻き込まれたら夢オチのように帰れるなら良いんだが。
最悪、崩壊に巻き込まれて全身バラバラになるんじゃないか?
「い、嫌じゃーーーー!!!見目麗しい乙女が爆散して死ぬなんて嫌ーー!!」
どうにかしてくれ、と言わんばかりに乙女の尊厳が懸かったカーソンがパニックに陥った。
「の、のう主様。主様ならなんとか出来んか!?前に一度、爆散して死んだ事あったじゃろ!」
無茶言うなよ。俺はニッコリと笑って言った。
「死ぬときは一緒だ。カーソン。俺たちは一心同体だから当然だろ?」
カーソンが顔を引き攣らせて叫んだ。
「い、嫌ーー!!そ、そうだ!スキルが使えたんじゃし、紋章に入ればワシだけでも・・・」
『やれやれだな。我が友であり、マスターよ。折角の旅出のときだと言うのに。』
奴の声だ。姿が見えない。
『まぁ、トドメを刺せと言った私にも責があるが。』
どっから話しかけてんだ。1人だけ安全圏に居るんじゃねぇ!
『現実世界から夢に逆干渉を行なっている。特典武具としての能力に夢を干渉する力が残されていたのは僥倖だった。アジャストの結果によっては能力自体がカット、或いはリソースの不足で弱体化していただろうからな。』
そうか。で、どうすんだ?脱出、出来んのか?
『然り。我が力であればそれも可能だ。』
じゃあ早く脱出させてくんねぇかな。相方が見るに堪えない醜態を晒しているんだが。
『了解した。マスターよ。こちらからはそちらを精細に見る事が出来ん。化身の相方と接触したら言え。2人同時に脱出させる。』
俺は振り返ってカーソンに手を繋げと伝えようとしたが居なかった。
「カーソン?まさか、崩壊に巻き込まれたのか!?」
だとしたらカーソンの尊厳が現実世界で肉片を撒き散らすことになるだろう。
崩壊した世界の穴に落っこちてしまったであろうカーソンの身を案じる。
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