魔王降臨祭
はあっはあっはあっ!
俺は乱れた呼吸を押さえつけるように整える。2体のUBMを討伐した猛者である筈の俺はデスペナの危機まで追いやられていた。
市街の壁に隠れた俺が息も絶え絶えに呟く。
「ご、ゴミどもめ。やれば出来るじゃあないか。」
彼方此方で俺を探して血祭りに上げようとする音が聞こえる。
胸に掛ける蜘蛛のアクセサリーになった【ヘイワン】が言った。
『どうする。此処で休んでいるだけでは奴らに見つかり、逃亡もままならんぞ。』
呼吸を整えてポーションを飲み干した俺は言った。
「大丈夫だ・・・俺に秘策がある。奴らを纏めて一網打尽にするしか方法はない。」
・・・・・
俺がゴミどもに狙われているのには理由があった。
それは俺が現時点のプレイヤーの中で最多UBM討伐者である事が掲示板のゴミどもに漏れた事にあった。
その中でも《指揮官》と呼ばれるコテハンによって面白半分嫉妬半分の掲示板住人を扇動し、俺を誅殺する暗殺チームを編成した。
此処での《指揮官》は美少女ゲームの廃課金ガチ勢だ。ガチャの爆死をも恐れぬ神風特攻で有名なコテハン勢である。
それに対して、俺は奴らのガス抜きついでに【契約書】で奴らと契約して勝敗で賭けをした。
【契約書】には賭けの履行の強制と時間帯や勝敗設定、場所、ルール設定などを盛り込まれている。
話を戻すが奴らはエンブリオやジョブ構成を馬鹿正直にログに残す素直なゴミどもではない。
総合レベル、役割、名前のみをログに残し、《指揮官》がゴミどもを前衛、中衛、後衛、後詰、遊撃の部隊に編成する形になる。
希望制などしていたら時間が掛かるから当然の流れだった。
俺も掲示板で情報を収集して大まかな参加者人数と傾向を掴んだが、エンブリオの多様性に手をこまねいていた。
直接的な殺傷力を持っていないエンブリオでも、他の火力と組む事でシナジーを生み出す事ができる。
だから、俺は索敵の役割をログに残したゴミどもを開始時間前に、刈り取った。なんなら中には女体化した掲示板住人Fも混ざっていた。
開始時間は決められたが、ルールには個人的なPKは制限されていないからだ。
参加した掲示板住人たちの中には女体化したまんまのマスターがちらほらいた。
お前らまだデスペナになって無かったのかよ。
まあ、面白半分で暗殺チームに編成される奴らはお祭り好きの愉快犯どもばかりだからな。騒ぎに乗じて女体化してても可笑しくは無い。
丁度良いから俺がお前たちを立派な男にしてやるよ。デスペナでな。
敵に回った索敵は生かしてて益は無いから殺す。俺には情報戦に使える特典武具があるが、ご開帳する機会はまだその時では無いからだ。
前衛や後衛はフレンドリーファイヤーや、いざと言う時の肉壁といった役があるので此方が優先になる。
火力と射程に長けた後衛はDPSそのものは低いものの、護衛と防衛に向いた後詰部隊が居るから手を出す事が出来ない。
中衛の中にはヒーラーやバッファーも混じっているのでマジで潰したいけど。位置的に無理だった。
索敵の次に最も狙いたいのは《指揮官》その人だ。奴は中衛にて指揮を取っている。しかも最悪な事に集団指揮と集団バフに特化したエンブリオ持ちだ。
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