ハーメルン
ありふれない青年が世界最悪
努力すると言うこと(上)





 現在、京楽はハジメやユカリ達と共に訓練の休憩時間を利用して王立図書館にて調べ物をしている。ハジメの手には〝北大陸魔物大図鑑〟というなんの捻りもないタイトル通りの巨大な図鑑が、ユカリは〝北大陸地理大図鑑〟と言う同じく何の捻りもないタイトル通りの図鑑があった。

 なぜ、そんな本を読んでいるのか。それは、この二週間の訓練や研究で、ハジメは良さげな材料鉱石が見付からないのと、メルドがイシュタルに錬成の訓練よりも、戦闘訓練に力をいれるように言われて異論をたてられなくなったり特に出来ることが無くなったからで、ユカリはチマチマと糸を作って裁縫などをしていたが、「それだけではダメだ」。と奮起して勉強に励んでいる。京楽はトータスの知識が無さすぎるので、文化や歴史を学ぶために読書に更けているのだ。ハジメやユカリの場合は、戦闘に関しては無力な自分が嫌なので知識や知恵でカバー出来ないかと京楽に進言され、二人は訓練の合間に勉強しているのである。京楽は歴史書を読んで不可解な点をメモしている。

 そんなわけで、ハジメは、しばらく図鑑を眺めていたのだが……突如、「はぁ~」と溜息を吐いて机の上に図鑑を放り投げた。ドスンッという重い音が響き、偶然通りかかった司書が物凄い形相でハジメを睨み、京楽とユカリの二人は同時に溜息を吐いた。

 ビクッとなりつつ、ハジメは急いで謝罪した。「次はねぇぞ、コラッ!」という無言の睨みを頂いてなんとか見逃してもらう。自分で自分に「何やってんだ」とツッコミ、溜息を吐いた。

 京楽は歴史書を開いて読んでおり、目頭をほぐして本を一度置き、背伸びをする。ユカリは本を置いて背伸びをしていた。チラリとハジメの方を見ると、ハジメはおもむろにステータスプレートを取り出し、頬杖をつきながら眺めていた。

 京楽もステータスプレートを取り出して眺める。

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八雲京楽 17歳 男 レベル:8
天職:賢者
筋力:90
体力:90
耐性:90
敏捷:180
魔力:270
魔耐:270
技能:剣術・弓術・槍術・体術・格闘術・高速魔力回復・並列思考・幻術・縮地・先読・言語理解
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 ステータスが上がって体が軽くなったとか、動きやすくなったなどの感覚はあるが、あとは普段とあまり変わらない。そして、ハジメやユカリは……

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:2
天職:錬成師
筋力:12
体力:12
耐性:12
敏捷:12
魔力:12
魔耐:12
技能:錬成、言語理解
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南雲ユカリ 15歳 女 レベル:2
天職:糸師
筋力:12
体力:12
耐性:12
敏捷:12
魔力:12
魔耐:12
技能:製糸・言語理解
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