チームデネボラの金曜日
トレセン学園で過ごすウマ娘は、座学に加えてレースに向けたトレーニングを日々行っている。
しかしそれ以外にも大切なことがある。
それは、
「ほら肘が曲がってるぞ! 表情を崩すな! 背筋も伸ばせ! 前を見ろ! 笑顔を忘れない!」
ウイニングライブのダンスレッスンと、
「アイネス! いつもの口癖出てる! マーベラスもただ大声を出すんじゃなくて、音程を意識しろ!」
ボーカルレッスンだ。
ウイニングライブはレース場まで応援に来てくれたファンたちへ、ウマ娘たちがする恩返し。
レース競技ウマ娘がレースが行えるのもレース競技場が運営出来るのも、全てファンがいるから。
だからこそファンの声援に走りと歌とダンスで応え、誰よりも早く、誰よりも輝いてこそ、真の愛されるウマ娘となるのだ。
「ほい、一旦休憩」
幸福の号令にチーム一同はふぅと一息つく。
各トレーナーや他チームの中にはレッスンに至っては指導員を雇っている場合もある。
しかし幸福みたいに自ら指導するトレーナーも一部いるのだ。こうすることで指導員を雇うコストを節約して、他のことにそのコストを割けるといったメリットがある。
幸福の場合、最初の頃は指導員を自腹で雇っていたが、自分がうまぴょい伝説をやることになったのをきっかけにこちらの指導もすることにした。幸い体を動かすのも歌を歌うのも好きだったし、トレーナー業をしているとなかなか体を動かす機会やストレス解消が出来ない。
なので自分の健康や体力維持にも繋がるので一石二鳥なのだ。
「麦茶はたくさんあるが、ダンスレッスン組はがぶ飲みするなよ。このあともたんまり踊るんだからな。ボーカルレッスン組はプロポリス喉スプレーしてケアだ」
幸福の言葉にボーカルレッスンのエアグルーヴやヒシアマゾン、ダンスレッスンのゴールドシチーはしっかりと返事をするが、他の面々はその顔に『うへぇ』という文字が浮かんでいる。
「トレーナーさん、セイちゃん、このまま踊り続けてたら脚が棒になっちゃうよ?」
「へぇ、脚が棒になるのか。是非とも変化の過程を見てみたいな」
「うぅ、この時のトレーナーさんってスパルタだよぉ」
「終わったらご褒美があるんだけどなぁ? そうかぁ、ウンスはいらねぇかぁ。残念だなぁ。せっかく駅前の人気店の高級人参プリンを予約して用意しといたのになぁ」
「にゃはは〜、何言ってるのかねトレーナーさん。ウマ娘はご褒美があると頑張るんだぞ〜?」
誠に現金なセイウンスカイであった。
「えっと、ここでターン……わっとっと!? うぅ……やっぱりちょっとよろめいてしまいますわ」
「マーベラス、そこ得意〜♪ くる〜ってしてマーベラス!って感じにやれば出来るもん!」
「感覚的過ぎてカワカミちゃんの頭にハテナマーク浮かんでるの……」
こっちはこっちで和気あいあいとしている。
「ぷはぁ……冷えた麦茶って最高だねぇ!」
「アマゾン、飲む前にスプレーしろ。声が枯れたら大変だぞ」
「このヒシアマ姉さんがそんな軟な喉してるわけないだろ?」
「いやケアはしといた方がいいって。ほら、モデルで姿勢キープするの慣れてるアタシだって、こうやって冷やしたりしてるんだから」
「わぁったよ……」
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