トレーナーは多忙
その日のトレーニングが終わりを迎えようとした頃、ヒシアマゾンとアイネスフウジンがジムへ顔を見せた。
二人はトレーニングジムの休憩室まで料理を持ってきていて、今日はそのままそこで夕飯を食べることにする。因みにカワカミプリンセスは買い出しが終わったらトレーニング組と合流して、ランニングマシンを使ったスピード&パワートレーニングをした。
「トレーニング組はシャワー浴びておいで。それまでにこっちは盛り付けしとくから」
幸福が指示を出すと、トレーニングをしていた者たちはシャワールームへと向かう。
「はい、トレ公。カード返すよ。ご馳走さん」
「ご馳走様なのー♪」
「はい、お粗末さん。で、何を作ったの?」
「みんな大好き野菜たっぷりのチキンカレーさ!」
「なの♪」
幸福の問いにドンと胸を叩いて答えるヒシアマゾンとえっへんと胸を張るアイネスフウジン。
ウマ娘は人間よりもよく食べる。故にチームみんなで食べるとなるとその量は凄まじいことになる。流石にどこかの葦毛の怪物よりは少ないが。
「んじゃ、みんなが来た頃には食べやすい熱さになるように盛り付けしちゃおう」
「おう! んじゃ、アイネスはサラダとスプーンとフォークを並べといてくれ」
「ガッテンなのー!」
幸福がそれぞれに適した摂取カロリーになるようにご飯の量を調節し、ヒシアマゾンがそこへカレーをかける。
当然おかわりも可。幸福はウマ娘栄養学的上最低でもこれだけは摂取してほしいカロリーを最初によそるのみだ。
――――――
みんなが席についたところで幸福が『いただきます』と手を合わせれば、みんなも手を合わせて復唱し、賑やかな食事が幕を開ける。
「あ、花びらの形をした人参……」
「おお、タイシンに当たったね! んじゃ、特賞でこのヒシアマ姉さん特製チーズベーコンオムレツをやろう!」
「余計に食べる量が増えたんだけど……」
ナリタタイシンは複雑な表情を浮かべるが、ヒシアマゾンのオムレツは好きなので拒みはしない。
「タイシン先輩は相変わらず小食ですわねー」
「いや、これでも食べる方になったんだよ? トレーナーが煩く言うから」
カワカミプリンセスが言ったことにナリタタイシンはそう返して、幸福へジト目を向ける。
それでも幸福はどこ吹く風で、
「エアグルーヴ、明日からファン感謝祭の準備期間に入るからトレーニングメニューはあとでウマートフォンに送っとく。花壇の方は俺が責任を持って世話するから君は自分のことに専念して」
「そうか。感謝する。何かあればこちらから連絡するが、貴様も何かあれば気兼ねなく連絡を寄越せ。それとご飯粒をだらしなくつけるな。たわけめ」
エアグルーヴと相変わらず明日からのミーティングをしている。
彼女が取ったご飯粒はそのまま彼女が食したが、メンバーはそんな光景を見ても何も言わない。寧ろツッコんだら負けである。
「そういえば、みんな感謝祭はクラスで出し物あるの?」
そこへセイウンスカイが話題を振った。
ファン感謝祭は人間学生側で言うと文化祭に近い。しかし文化祭と違うのはウマ娘たちが提供するサービスが基本無料で受けられることだろう。
理由はファンがいないとレース場の運営費やレースそのものの開催費、そしてウマ娘たちの獲得賞金が賄えないからだ。
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