ハーメルン
型月転生
第1話・平穏も今日まで

 結論から言う。召喚は普通に成功し、綺麗な髪を揺らしながら呼び出されたのはキャスター。
 完全に御目当ての英霊を引き当てたわけである。

 まぁ、製作費用、総額数万円はする補助礼装を惜しげもなく使い捨て、幸運に極振りしたのだから失敗したなら大泣きするところであった。
 二流どころの霊地の管理者をやってる俺は程々に金持ちではあるが、流石に諭吉さんが散る幻影はなかなかに心に堪えるものがある。

「へぇ、情報収集はしっかりしているのね」

 もっと無いのか? とは思う。さり気なく他のサーヴァントの情報とか、マスターであるとかのやつを渡してるのに、この一言である。
 有用性は認めているのだろうが、もっと無いのか……。まぁ良いけど。
 陣地作成と道具作成をしながらの片手間であるので、仕方ないといえばそうなのだろうが。俺の工房にある素材を使っていいと言ってあるので、キャスターの腕ならかなりのものが揃うはず。

 思い出すのに暗示とか結構大変だったなぁ……。
 基本的に記憶操作系の魔術には、対象の記憶が過去のものであればあるほど労力が必要になってくる。
 二年前、自分で自分に"思い出す"魔術をかけた際には、転生してから随分と時間が経っていたために相当な魔力使った。

 因みに、俺が見限られることは一切心配していない。確かキャスターが五次においてマスターを裏切ったのは、散々に嫉妬された挙句酷い目に遭わされたので騙し討ちをした、というものだった筈。
 俺は羨望はせども嫉妬はしないし、魔力量の制限なんかは以ての外。生き残りたいし、出来れば聖杯欲しいのに仲間内で揉めてどうする、というのが俺の考えなわけだし。

「ここまで調べ上げたのなら、当然策は考えてあるのよね?」

 ん? それはまぁ、当然に。
 ていうかキャスタークラスを決めた時点である程度建設的な案を幾らか考えておくのは当たり前だろう。
 行き当たりばったりじゃ、セイバーに引っ叩かれるのが関の山なわけだし。

 そんなことを伝えてみると、若干エルフ耳がぴこぴこ動き、何処か怒ったような表情をしてきた。なんか不機嫌だなぁ。

「……聞かせなさい」

 ……え、あー……マジか。
 でも、俺自身の戦略じゃなくてキャスターに協力してもらうこと前提でも良いのだろうか。

「問題ないわよ。サーヴァントとして呼ばれた以上、ある程度の協力は当然だと思っているわ。───勿論、マスターが働かない屑だと言うならば話は別よね?」

 綺麗な美貌でにっこりと怖いことを言われた。
 俺の命はかなり薄氷の上にあったようだ。まぁ、冗談だとは思うが。

「……まず、バーサーカーのマスターである間桐雁夜の確保だな。それで、バーサーカーの獲得」
「続けなさい」
「彼は工房に引き篭もるのではなく、下水道に隠れサーヴァントのみを戦闘させる作戦を取っている。これは、彼がマンホールの下見をしていた際に知ったことだ。
 件の下水道の位置は確認している。流石に死にかけ三流魔術師に俺が遅れを取ることは無いだろうし、念のために帰りは空間転移で此処に戻る予定だ」
「理解したわ。私は令呪の移植と令呪とパスの分割、バーサーカーのマスターの"加工"を担当すればいいのね」
「理解が早くて助かる」

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