第13章 亡国の幽霊
「あら、これ素敵じゃない?」
「こちらにも良いモノがたくさんありますわ」
「どうしましょう、迷ってしまいます」
ある日の夕方、今日も部下達が隠れ蓑にしている商店は大盛況だった。
学生が多いこともあり、少しだけ心配もしていたが
思った以上の反響となっている。
ブラウンとの話し合いの後、店を開けることにした。
その際、様々な身分の人間に購入出来るように
ランク分けをしていたのだが、どうせだということで
店の配置なども分けることになった。
まずは店の前に露店を並べ、そこでは誰でも買える
手頃な装飾品を並べる。
興味を持って店に入れば、そこには少し高めではあるが
それなりに良い品を揃えた場所になっており
落ち着いて一品を選ぶことが出来るようになっている。
そして更に店の奥には、高級感のある調度品などでまとめた
専用の場所が用意してあり、かなり高額な装飾品のみを取り扱っている。
名門貴族のお嬢様であっても購入するのに悩むほどの高額なモノまで用意してあり
まさに『選ばれた者だけが入れる』という場所とした。
これが見事に当たったというべきか。
店の前には、常に人だかりが出来ており
その賑わいに興味を持った人々が店の中に入ってくる。
そしてランク分け通りに、店の前には一般客が多く
店の中には見るからに貴族の娘といった少女達。
店の奥には、名を聞いただけでどこの誰だか解るような
それなりに名のある名門貴族の令嬢が入っていた。
本来、装飾品などは
依頼された商人が持ってきてくれるのだが
持ってくるのは基本的に商人達が『売りたい品物』だ。
その中から自分で気に入ったものを購入するのが貴族達の一般的な購入方法だが
この店は『来店してもらう』という手間を相手にかけさせる。
だがその手間を惜しまなければ『店にある全ての品物』から
自分の気に入ったものを選べる。
圧倒的に選べる種類が多いのだ。
しかも職人達を抱えている関係で、特注の一点モノも注文可能。
つまり自分の理想の装飾品を購入出来るという仕組みとなっている。
こうした今までに無かった方法を採用したことで
一気に注目度が増したという感じだ。
商売が上手くいってくれたのは良かったが
おかげで毎日忙しく、慢性的な人手不足。
店の性質上、女を店員として配置し
男は警備の名目で武装して店の周辺を警備しているのだが
少数精鋭体制が逆に仇となり、圧倒的に人数が足りていない。
今の所は、目立った問題は起きていないが
諜報活動に支障が出ているとミーアから報告が上がっていた。
「・・・本格的にいくつか部隊を呼ぶ必要があるな」
店の賑わいを確認しながら、リシアは次の一手を考えるのだった。
第13章 亡国の幽霊
「以上が、現在までの調査結果となります」
「そうか・・・」
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