第14章 聖騎士の条件
静寂の闇夜を切り裂くような剣戟が響く。
何度か赤い想力の女と互いに剣をぶつけてる最中
それに割り込むように現れた黒い人影が
不意打ちとばかりに襲いかかってくる。
だがそれを軽く回避し、すれ違いざまに剣を薙ぐように振って
黒い影を切り裂く。
すると何の抵抗もなく、霧散する影。
「(想力による攻撃が通るのは良いことだが・・・)」
目の前を見ると、既にまた女の周囲に黒い影達がワラワラと湧いていた。
「(これでは、さすがにキリが無いな)」
女の様子を伺ってみても平然としている。
想力には、多種多様なものが存在するが
その力が強力であればあるほど、その消耗も激しい。
特にこういった召喚ともいうべきか、部下のようなものを呼び出すものは
その質や数によっても差があるものの、比較的消耗が激しい部類に入る。
亡霊というべきか、この黒い影達は
それほどの強さではないものの、数が多すぎる。
これだけの数を呼べば、普通は息の一つもあがるものだ。
しかしまったくそういった気配がない。
これも、赤い想力の能力・・・なのか?
「何をしている!
早く、その蛮族の首をあげよ!」
女が叫ぶと黒い影達は、一斉にこちらに向かって
飛びかかってくる。
女の実力は、学園の女生徒達に比べれば強い部類に入るが
そこまで強いわけでもない。
「(・・・あまり時間をかける訳にもいかない、か)」
襲ってくる奴らを避けながら女に向かって走り出す。
避けきれない相手を何度か斬るために速度を維持出来ず
あっという間に囲まれる。
しかしそんなことを気にすることもなく前に出るリシア。
そんなリシアを全方位から一斉攻撃が襲う。
さすがに避けきれないだろうと女が思った瞬間―――
「―――ッ!?」
リシアは半球状の想力壁を展開。
全方位からの敵の攻撃を受け止めると
そのまま想力壁を外に向かって弾くように吹き飛ばす。
その勢いに周囲全ての黒い影は消滅する。
黒い影達の消滅を確認することなく
既に女の近くまで走り込んでいたリシアは
そのままの勢いで斬りかかる。
だが―――
「アアァッ!!」
女の足元から突然、黒い影が地面から這い出るように現れ
リシアに向かって攻撃する。
完全な奇襲に、咄嗟に身体をそらして相手の一撃を避けるも
無理やり体勢を変えたせいで踏み込んだ右足を捻ってしまう。
しかし、攻撃のチャンスを逃す訳にはいかない。
その痛みに耐えながら片手で剣を振る。
半端な攻撃になってしまったために、女が剣で受け止める。
体勢を崩しながらの一撃だったために、走ってきた勢いを殺すことが出来ず
地面に転がるように倒れる。
その隙を逃すはずもなく、女はリシアが立ち上がる前に攻撃するため
リシアとの距離を詰めようと前に出る。
その瞬間―――
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