ハーメルン
来禅高校のとある女子高生の日記
止まない雨


「そ、れでお話だっけ? うん、私も暇だったし、いいよ」
『え、本当!? やったー! もう全く! あの人たちに京乃ちゃんの爪の垢を煎じて飲ましてあげたいよー』
「……あ、でも、1つお願いしてもいいかな?」
『えっなになにー? よしのんに出来ることだったら何だって叶えちゃうよ〜?』
「ありがとうよしのん。あの、私、四糸乃ちゃんともお話、したいんだけど、いい……かな?」
『何だ、そんなこと? よしのん達にオイタをする人達ならともかく、京乃ちゃんだったら大歓迎だよー
 ね、四糸乃?』

 よしのんがそう呼びかけると、今まで反応がなかった四糸乃の顔に驚きがはしる。
 そして京乃の顔を数秒見つめた後、四糸乃は逃げ出そうとしたが、よしのんが声をかけたことにより動きを止めた。

『四糸乃、京乃ちゃんは大丈夫だって! ねっ、よしのんもついてるし!』
「……うん」

 それでも元気がない四糸乃を見てか、京乃は四糸乃と同じ目線まで背をかがめて口を開く。

「ごめんね、驚かせちゃった、かな? 私も、四糸乃ちゃん達のおしゃべりに混ぜさせてもらっても、いいかな?」

 出来るだけ優しい声音で言った京乃に対して、四糸乃は不安そうだがこくりと頷き、その様子を見た京乃は嬉しそうな顔をした。

「ありがとう。ここじゃ寒いし、私の家に来る?」
「……京乃さんの、お家、ですか? そんなの悪いです……」
『京乃ちゃんがいいって言ってるんだから、遠慮しない遠慮しないー』

 中々決心がつかない様子の四糸乃に対して、よしのんは行っちゃおう! と意気込んでいる。

「よ、よしのん……でも、……本当に、良いんですか?」
「うん、四糸乃ちゃんだったら大歓迎だよ」

 またぎこちない笑みを浮かべて京乃は肯定した。
 その反応に、四糸乃はどうしようか考える。
 本当に行っても大丈夫なのだろうか? もしかしたらついて行った先があの攻撃をしてくる人たちのアジトで、袋叩きにされるかもしれない。
 その可能性もないとは言い切れないけど……
 四糸乃はちらりと手元にいるよしのんを見つめる。
 よしのんが大丈夫だって言っているんだし、信じても良いのかな。出会ったばかりの京乃のことは信用出来ないけど、私のヒーローであるよしのんのいうことなら信用することが出来る。
 そう頭で考えを纏めた四糸乃は、ぺこりと頷いた。
 そんな四糸乃の様子を見て、京乃はさっきよりも一層嬉しそうに、はにかんだ笑顔を見せた。

「ありがとう。
 家はすぐそこだから」

 そう言って京乃は、躊躇いがちに手のひらを出す。
 四糸乃はそれを見て不思議そうに首を傾げる。

『四糸乃っ、そこはちゃんと握らないと〜』
「……っ! 握っても……良いですか……?」
「うん、もちろんだよ」

 よしのんの言葉を聞いた四糸乃は、躊躇いがちに京乃の手を取る。
 その瞬間京乃はピクリと肩を震わせたが、ぶんぶんと頭を振って、四糸乃の手を引いた。






 四糸乃が着いた所は、どこにでもあるような変哲もない家の前だった。
 しかし安心なんて出来ない。もしかしたら、四糸乃が安心している隙に攻撃してくる可能性だって……
 そんな考えを膨らませた四糸乃は顔を曇らせた。

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