018:四国での騒動の一幕
「協力者?」
「そう、協力者」
とりあえず越水に今日の行動を洗いざらい吐かされた。
なんでも、ファミレスの席で後ろ向きに喋った時にか、髪の毛が一本付いていたらしい。髪型までずばり言い当てられて、「第一回浅見透の好みは年下か年上か討論会」が勃発した。しかも自分の意見を、討論会の最初に宣誓した通り正直に話したらドン引きされた。なんなんだよ、マジで。
……あれ? そういえばなんで年下って分かったんだろう?
……ともあれ、本題に移ろう。越水の方も、今日は特に進展はなかったらしい。
だから俺も一緒に行くって言ってんだろうが。一応最低限の知識はコナンから叩きこまれてる。状況を保存したまま倒れた人の生死を確認する方法、遺体の死後硬直や死斑から判断する遺体の状況判断、爆弾解体の基礎知識、緊急時における蘇生法、基本的な暗号パターンに毒も含めた薬品の種類とその対処法などなど……。事務所を開いてからは、工藤新一の家から本を持ってきてくれたりして、阿笠博士の家で授業を受けている。
はたから見るとシュールな光景だけど、実は結構楽しい時間だ。阿笠博士と協力しての様々な実験なんかやってくれたのは、昔の理科の実験を思い出して、中々楽しかった。
ともあれ、そんなこともあって今なら結構役に立てると思うのだが……。
「ちなみに、その協力者って誰なの?」
「ん? ああ、工藤の知り合いだよ。西の高校生探偵の服部平次――」
――ガタンッ!
「あっちあっちあっちぃ!! おい、なんでいきなり湯呑み倒した! しかも狙ったように俺の方に!!」
思いっきり手にかかった熱いお茶を振り払いながら、思わず立ち上がった。
とりあえず冷やそうと、冷蔵庫に入れておいたコーラの缶を押しつけて冷やす。……あれ、静かだな?
「……お~い、越水? どうした~?」
越水は黙ってずっと手元を見ている。おうこっち見ろやコルァ。
「…………ねぇ、浅見君。彼、どんな喋り方だった?」
「へ? いや、俺まだ直接会ってないんだけど……。てか、さっき説明しただろうが……お前、本当に大丈夫か?」
おかしい。どうにも集中できてない。こんな越水久しぶりに見るな。それこそ、入学したての時みたいだ。そういや、あの時のコイツは上京したばっかだからか、えらいピリピリしてた……まぁ、コイツ顔はいいからナンパとかサークルの勧誘がしつこくてイライラしてたっていうのもあったんだろうけど……。
「浅見君、明日も別々に調査しよう。君の方には協力者がいるから大丈夫だよね?」
「おーい無視か。お茶ぶっかけたのはスルーか、おい……」
「僕は、もう一度心当たりを当たってみる。浅見君には、また今日と同じように独自に動いてほしいんだ。で、明日その調査を詳しく話して欲しいんだ」
「――その高校生探偵が、どんな推理をするのか、ね」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「瑞紀様、一息入れてお茶とお菓子はいかがですか?」
「わぁ! ありがとうございます!」
「いえ、瑞紀様は今日も大変な場所の調査をされると聞いておりますので……、あ、こちらにお弁当も用意しております。……ちゃんと、お魚は使っておりませんのでご安心を」
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