NARUTO 第十四話
木ノ葉の里に広がる森の中。その森で木々のない開けた土地に数人の忍が集まっていた。
アカネ・自来也・綱手の師匠組と、ナルト・サスケ・サクラの弟子組、そして第七班の担当であるカカシの計七人である。
サクラがこの場にいるのは、サクラが綱手から聞かされた任務を受ける事を選んだからだ。今まで彼女はナルトやサスケに助けられてばかりだった。そんなお荷物な自分が嫌で、逆にナルト達を助けてやろうと決心したのだ。
その時のサクラの意気込みを見て綱手はサクラを気に入った。こうなったら空いた時間を使って徹底的に鍛え上げるつもりだ。
そして今日はナルトとサスケが勝負をする為にこうして集まっているのだった。
狙われている二人の力を計る為であり、サクラに今の自分とナルト達との差を理解させてより追い付こうとする気概を持たせる為でもあった。
そしてアカネにとってはナルトとサスケのチャクラを見比べる為でもある。この二人だけどうしてチャクラが二重に感じるのか。その不思議を少しでも解く為だ。
勝負が始まる前からアカネは白眼を発動して二人を見る。こうして見比べると二人は似ているようでどこか違っていた。
ナルトからは柱間を、サスケからはマダラを思い起こさせるチャクラを感じる。だが二人のチャクラが柱間とマダラに似ている訳ではない。
二重になっているチャクラがそれぞれ柱間とマダラの二重になっていたチャクラと同一に感じるのだ。
(はてさて。これは一体何なのか?)
長い人生を歩むアカネも皆目見当が付かないこの現象。とにかく今は観察に集中するしかなかった。
「それじゃあこれよりうずまきナルト対うちはサスケの勝負を始める。まずは互いに対立の印をせい」
自来也の言葉に従い、ナルトとサスケが対立の印を組む。
対立の印とは木ノ葉の里で古くから守られてきた伝統の訓練方式である忍組手の所作の一つだ。
組手前に必ず片手印を相手に向ける行為の事だが、両手印で術を発動する所作の半分を意味し、これから戦う意思を示す行為。それが対立の印だ。
そして組手が終わり決着の後に、互いに対立の印を前に出して重ね合わせ結び、和解の印として仲間である事の意思を示す。
その一連の流れが忍組手の作法一式である。
ナルトとサスケは対立の印を組む事で過去に思いを馳せていた。
それは二人の最初の戦いの記憶。アカデミーでの忍組手の記憶だ。
当時の組手はサスケの圧勝だった。家族がいて才能があって強くて、ナルトにとってサスケは眩し過ぎる存在だった。
それからナルトはサスケをライバル視するようになった。必ずサスケに勝って自分を認めさせる。無意識の内に自分が初めて眩しいと感じた相手に認められる事で第一歩を踏み出せる様に思ったのだ。
今までは落ちこぼれとしてナルトはサスケの眼中になかった。だが同じ班となって共に任務をし、今ではサスケから闘いたいと言われる様になった。
そして今目の前に本気のサスケがいる。それがナルトには嬉しかった。
「へへ」
「何がおかしい?」
「おかしいんじゃねーってばよ、嬉しいんだ! お前にやっと勝てると思ったらな!」
ナルトの答えにサスケは笑って返す。
「ふん。残念だが、今日もオレが勝つ。明日も、明後日もだ!」
「いつまでも落ちこぼれだと思ってんじゃねーぜ!」
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