NARUTO 第十六話
ナルト達が修行を始めて一年と半年が過ぎた。アカネ(本体)とナルトが修行をしている場には、日向の姫君である日向ヒナタの姿もあった。
さて、何故ナルトと一緒にヒナタがいるのか。その答えは……まあ、野暮というものだろうがすぐに分かるだろう。
「な、ナルト君……お疲れ様、こ、これ良かったら飲んで。家で作ってきたの」
「お、サンキューヒナタ! やっぱりヒナタはいい奴だってばよ! ……鬼アカネと違って」
とまあ、この様に甲斐甲斐しく世話をしているのだ。もちろんヒナタも一緒になってナルトと修行をしている。
憧れていて惚れた男と一緒にいたい。そんなヒナタの想いにアカネが共に修行をする事を提案したのである。
そして疲れた時や傷ついた時に優しく看護すればその内にナルトもヒナタの優しさと魅力に気付き、いつしか愛が芽生えるだろうという案だ。
だからこそ、愛する妹分であるヒナタの為だからこそ、アカネはナルトが小さく呟いた言葉を見過ごしてやった。
(ヒナタ様がいなくなったら覚えていろよナルトめ)
見過ごしたのは今だけのようだ。ヒナタが離れた時がナルトの最後かもしれない。
さて、こうしてナルトと一緒に修行をしているヒナタだが、ナルトがカカシ率いる第七班という班に入っているように、ヒナタも夕日紅率いる第八班の一員である。
つまりナルトと違ってヒナタには任務をこなす必要があるという事だ。まあ、ナルトも一応は任務中なのだが。
そんなヒナタが常日頃からナルトと共にいる事は出来ないだろう。同じ第八班同士による連携修行や任務もあるのだから致し方ない。
だが第八班の班員達にはある悩みがある事がヒナタの言葉から発覚した。それを解消し、そしてヒナタの想いも遂げられる一石二鳥の案をアカネは考え付いたのである。
では第八班の悩みとは何なのか。それは……自身達とヒナタとの実力差であった。
第八班の一員、犬塚キバ。彼は現在アカネ(影分身)の地獄の修行を受けていた。最近ヒナタがメキメキと実力を付けて来て、このままではいられないと思っていた矢先、担当上忍である紅からアカネを紹介されたのである。
「もう、無理だ……」
「大丈夫。出来ます。これが出来ればあなたの通牙は更なる威力を得て進化するでしょう」
「オレは日向じゃねぇんだよ! あんたやネジみたいにそう簡単に全身からチャクラを放出なんて出来るか!」
チャクラとは基本的に掌という放出しやすい箇所を使用して術などを発動する。螺旋丸を手から作っているのもそれが理由だ。まあ、アカネは全身のどこからでも螺旋丸を作る事が出来るが。その気になれば「私自身が螺旋丸になる事だ」などという意味不明な台詞を吐いて実行する事も出来る。
だが全身からチャクラを放出出来るのは経絡系や全身の点穴を見切る事が出来る日向ならではの技術なのだ。キバがアカネに文句を言っているのも間違いではない。いや、間違いではないが、間違っているとも言えた。その理由をアカネがキバに説明した。
「全身からチャクラを放出するのは日向の特権ではありません。日向はあくまでその技術に長ける素養があるだけの事。その素養がなくても意識して修行すればいずれは全身からチャクラを放出する事が出来る様になりますよ」
「……んなこと言ったってよ」
アカネに説明されても納得を見せないキバ。こうしてアカネに修行を付けてもらっているのは担当上忍である紅からの指示だからだが、いきなりの事なのでまだ全てに納得が出来ていないのだ。強くはなりたいが、良く知りもしない同い年くらいの少女が相手では納得する事が出来ず修行に身が入るわけもない。
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