NARUTO 第二話
『ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ』
「お疲れ様でした。いい勝負でしたね。僅差でマダラの勝利かな」
倒れ伏している二人の頭上。何時の間にか樹上へと避難していたヒヨリが二人を労う。
三人の騒動は次第に柱間とマダラのタイマンへと移行していった。
まあヒヨリがさりげなく柱間を盾にして逃げたせいだが。
そんな二人のタイマンはヒヨリの判定ではマダラの勝利と出た。
これまでの組手から柱間とマダラでは僅かに柱間の方が上であったが、その僅かな差を写輪眼が覆した結果だろう。
「よ、よし、オレの……勝ちだぜ柱間……」
「ぐ、次は……負けんぞマダラァ……」
既に互いに勝負の原因については忘れてしまっているようだ。
マダラなんて柱間に辛勝とは言えまともに勝てたおかげでむしろ機嫌が良くなっているくらいだ。
ヒヨリは樹上から降り立ち二人へと近づいていく。
「さて、それでは私が何の為にあなた達へと近づいたのかを教えましょう」
『……あ』
「……忘れてましたね?」
勝負の原因どころかヒヨリの目的を暴く事すら忘れていたようだ。
もしヒヨリの目的が二人の命ならばこの状況なら確実に殺されていただろう。
「安心してください。私の目的は、私の夢を叶えるのにあなた達の力を貸してほしい事です」
『夢……?』
「はい。私の夢は……子どもが戦場に出ずに、自由に遊べて、学ぶ事の出来る世界を作る事です」
『それは……』
その夢は、二人と同じ夢だった。
「一族に関係なく子ども達は仲良く遊べ、一族に関係なく子ども達は共に学び、一族に関係なく協力しあえる。そんな世の中であってほしい」
「柱間と同じ夢……」
「違うぞマダラ。オレ達の夢ぞ」
そう言ってくれる柱間にマダラは嬉しく思う。こういう奴だからこそ、性格は違えど共にいる事が出来るのだと。
そんな二人を見てヒヨリも嬉しく思う。この二人となら絶対に成し遂げられると。
「一人では無理だと思っていた。そうして今の世の中を憂いているだけだった。でも、あなた達を見つけてそれが夢ではなくなったと思いました」
「……どうやってオレ達を見つけたんだ?」
「白眼で。会話は口の動きを読みました」
『おい?』
まさかの覗き見である。これにはマダラどころか柱間も耐えられず突っ込んだ。
「いやね。今の世に嫌気が差してふと遠方を見つめていたら気になる二人がいましてね。だってチャクラ性質が違う一族のそれなんですよ? この時勢にあって違う一族同士の子どもが一緒に仲良く修行したり語りあっていたら気になるのも仕方ないでしょう?」
「だからと言って覗くかおい」
「そしたらこの乱世にあって私と同じ考えを持っているじゃないですか。この二人とならこの不毛な乱世を終わらせる事が出来るんじゃないかと思いまして」
「無視してるぞこやつ……」
「存外図太い神経してんな」
「そう思ったらいても立ってもいられず…………あ、その節はすいませんでした」
「オレの股間を見ながら言う台詞かテメェェェ!!」
きっと一生ネタにされるのだろう。マダラとヒヨリを見て柱間はそう確信した。
「というわけで! 私もあなた達と一緒に集落作りをさせてください!」
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