ハーメルン
どうしてこうなった? 異伝編
NARUTO 第六話

 時は流れる。
 雲隠れの里との同盟条約が結ばれてから、木ノ葉の里は戦争とは久しく無縁の平和な日々を送っていた。
 戦争を経験してきた忍たちはそれを謳歌していた。もちろん日々の修行は欠かしていないが。
 中には物心ついた頃から戦争を経験して来た忍もいるのだ。こうして平和な日々が続き、そして今後もそうであってほしいと願っている者が殆どだろう。

 もっとも、里の忍の多くは知り得ない情報だが、実際には雲隠れの里との同盟条約後には実は一悶着あったのだ。
 それは雲隠れの里の忍頭が、日向宗家の嫡子である日向ヒナタを誘拐しようとしていたからである。木ノ葉と同盟を結んだのも初めから日向ヒナタを、日向の白眼を狙っての事だったのだろう。

 正確にはこの事件、誘拐ではなく誘拐未遂で終わっている。日向ヒナタは雲隠れの忍頭に攫われ掛けたが、すぐに助け出されたのだ。
 その時ヒナタを救ったのが日向アカネである。というか、アカネは雲隠れの忍頭が日向一族の土地に忍び込んだ瞬間からその気配を察知していたのだ。
 アカネの感知能力は世界一! かどうかはアカネ自身も分からないが、少なくとも並ぶ者は少ないという自負はあった。これくらいの気配探知など朝飯前だった。

 日向の敷地内で気配を消して移動する。まあ忍であれば修行中だったと言えるかもしれない。真夜中だったが。
 一応は気配を追ってしばらく(けん)に回っていたアカネだが、気配は日向宗家の屋敷へと侵入していった。完全に黒だろう。

 アカネはすぐに宗家の屋敷へと駆けつけた。侵入者は未だ屋敷の中にいるようだ。それをアカネは白眼にて確認する。
 さて、ここでアカネは少々困っていた。確認した侵入者が雲隠れの忍頭だったのである。
 雲隠れを歓迎するセレモニーに参加していなかったが、それでも彼の顔は木ノ葉では一躍有名になった。当然アカネも容姿くらいは知っていた。
 これで侵入者が木ノ葉の裏切り者とかだったら悲しいが話は簡単だった。さっさと倒してお終いだ。
 だが同盟条約を締結したばかりの雲隠れの忍となれば話は別だ。下手な事をすれば話が拗れて同盟が崩壊しかねない危険性を孕んでいた。
 侵入して来たのは相手側だが、それで話が終わりなら苦労はしない。特に雲隠れの長である雷影は激情家で有名だ。無茶苦茶な理論で戦争を吹っかけて来ても可笑しくない程にだ。

 かと言って放置は言語道断だ。何せこの侵入者はアカネの愛する妹分であるヒナタを担いで攫おうとしているからである。
 死なない程度に痛めつける。忍頭の運命はこの瞬間に決定していた。



 さて、ぼこぼこにされて全身の点穴を死なない程度に突かれて数多の関節を外されて自殺も出来ない様に徹底的に捕縛された忍頭。彼を巡って雲隠れとはいざこざが起こった。
 木ノ葉側は里に忍び込むだけでなく里の人間を攫うとはどう言う了見だ、と雲隠れを責め立て、雲隠れ側はそいつが勝手にした事だから里は関与していないと突っぱねた。
 これで忍頭が死んでいればそれを理由に木ノ葉を脅し、再び戦争を仕掛けると匂わせてから落とし所として忍頭を殺した日向の下手人を寄越せと言うつもりだった雲隠れだが、流石に死んでいないのならばそこまでは言えないでいた。
 というか、死んでいたとしても侵入して人攫いをしようとした時点でどう考えても悪いのは雲隠れである。それでそんな事を言えるのなら面の皮が厚いというレベルではないだろう。

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