NARUTO 第七話
「ふっ!」
「ちぃっ!」
懐へと接近しようとするアカネに対して自来也は忍法・針地蔵にて自分の髪の毛を鋭い針に変化させ、それで全身を覆う事でアカネに触れられるのを防ぐ。
日向の体術は触れるだけで対象の経絡系を攻撃し内臓に直接ダメージを与える防御不可能な柔拳だ。触れられたが最後、自来也と言えどダメージは免れられない。
ならば初めから接近戦は捨てるまでだった。触れられさえしなければ柔拳は発動しない。中距離から遠距離を保ち忍術などの遠距離攻撃にて仕留める。それが日向への一般的な対応法だ。
初手を針地蔵にて防ぎ、次に距離を取る。それが自来也の選択だった。
だが、その選択がすでに間違いだった。
「はぁっ!」
「ぐふぉおぉっ!?」
アカネは鋭い針の山に何ら躊躇する事なく拳を叩きこんだ。普通ならその拳は無数の針によってズタズタになっているだろう。
だが針山に叩きこんだ拳には傷一つ付いていなかった。そればかりか針地蔵にて防御していた自来也が吹き飛んでいく始末だ。
(な、なんちゅう馬鹿力! こりゃあ綱手と同じ攻撃か!)
三忍の綱手は医療忍術のスペシャリストだ。そして医療忍術には非常に高度なチャクラコントロールを必要とする。
そのチャクラコントロールを応用し、攻撃する箇所にチャクラを集中する事で攻撃力を跳ね上げる技術がある。それを綱手は得意としていた。
綱手がその気になれば指一本で大地を割る事も出来るほどだ。拳を叩き込めば大地は広範囲に渡って砕け散るだろう。
その綱手と遜色ないレベルの攻撃をアカネは放っていたのだ。もし針地蔵がなくまともに今の一撃を受けていれば、それだけで勝負は決していただろう。
アカネの拳が傷一つ付いていないのもチャクラを集中して防御力を高めていた為だった。
(こうして吹き飛んでいると綱手に全力で殴られた時の事を思い出すわい……)
若干のダメージを受けて勢いのままに吹き飛ばされながら、自来也はかつての死の恐怖を思い出す。
若かりし頃に女湯の綱手の覗きをした事がばれて綱手から全力で殴られ、両腕と肋骨六本の骨折及び内臓破裂という重傷を負い死の境をさまよった時の事を。
もしこれで死んでいれば三忍として最も最低な死に方をした忍として別の意味で伝説になっていただろう。生きていて良かったものである。
「それにしても……」
優に100mは吹き飛んだか。ようやく地面に降り立った自来也はある疑問をアカネにぶつけた。
「お前本当に日向か!? 日向が剛拳なんぞ使うんでないわ!」
剛拳とは肉体を用いて直接攻撃にて対象の外部を破壊する攻撃。一般的にはこちらの攻撃方法が肉体による直接攻撃では基本だろう。内部破壊を主とする柔拳の方が珍しいのだ。
だがその珍しい武術を基本戦術として取り入れているのが日向なのだ。白眼との相性も非常に良く、日向の長き歴史に渡って練り続けられた技術と言えよう。
言うなれば日向の誇りの一つと言えるのが柔拳だ。だというのに思いっきり剛拳を放ってくるアカネに自来也も驚愕だった。
「失礼な。柔拳も剛拳も等しく敵を倒す為の技術。状況によって使い分ける事も必要でしょう。そもそも、日向が剛拳を使って何が悪い!」
「お前に日向の誇りはないんかのぉッ!?」
「…………もちろんありますよ?」
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